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更新日:2012年6月20日
むかしむかし、あるところにあわてものの子がいました。お母さんのお使いで、おばあさんのところへ行きました。おばあさんは大へんよろこんで、「ようきた。ようきた。」といって、さっそくかわいい孫〈まご〉を居間に上らせ、台所から黄粉〈きなこ〉のついただんごを持ってきました。
「だんごをしたところじゃ。腹いっぱいお食べ。」といいました。
「これはうまい。何というもんじゃ。」と目をぱちくりさせながら、二つ三つ五つと食べました。
「おまえ、これ知らんのか。だんごというもんじゃ。」
その子は、あんなうまいもの、帰ってまたお母さんにつくってもらおう。はじめて聞いた名前、わすれては大へんだ。名前をよびながら帰ろうと思って、「だんご、だんご、だんご。」と大きな声でとなえながら帰っていきました。途中に川がありました。今のように橋がありません。しかたがないので、川の中の飛び石づたいに、ひよっこり、ひよっこり、飛んで渡りました。
「ひょっこり、ひょっこり、ひよっこり。」
家に帰りつきました。
「お母さん、ひよっこりをこしらえておくれ。」
「ひよっこりって何じゃ。」
「まるうて、うまいうまいもんじゃ。」
「そんなこというたとて、知らんものが作れるかいな。」
なんとか説明しょうとするけれどわかりません。だんだんもどかしくなって、とうとう母親の頭を棒〈ぼう〉でたたいてしまいました。
「こりゃ、何ちゅうことするんじゃ。だんごのような瘤〈こぶ〉ができたがな。」
「ああ、そのだんごじゃ、だんごじゃ。」
「困った子じゃ、ようおぼえてもどらんかいな。」
お母さんは、おばあさんのつくってくれたような、うまい、うまいだんごをつくってくれました。
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