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更新日:2013年1月14日
千種〈ちくさ〉町と波賀〈はが〉町のさかいの波賀坂峠〈とうげ〉に、むかし観音〈かんのん〉さんと薬師〈やくし〉さんが、いっしょにお祭りしてあった。
東の方の斉木〈さいき〉の村の人は、自分たちの村にお堂を建てて、観音さんをつれて帰ろうとした。
西の方の岩野辺〈いわのべ〉村の人も、お堂を建ててつれて帰ろうとして、とうとう取り合いになってしもうた。
そこで、両方の村の人たちが峠に集まって、いろいろ相談〈そうだん〉したそうじゃ。そして、
「あすの朝、にわとりが鳴いたのを合図〈あいず〉に、早う峠の観音さんのところへきた村へ、つれて帰ることにしょう。」
と、いうことになったんじゃ。
両方の村の人は、それぞれの村へ帰っていった。
ところが、岩野辺の村の人が峠をおりて、ふもとの荒尾〈あらお〉の下まで帰ってくると、大きな石の上で金のにわとりが大声で鳴いていた。さっそく、とって返して峠へたどりつき、観音さんをつれて帰ってきたそうじゃ。
岩野辺村の福海寺〈ふくかいじ〉の上の観音堂にまつってある観音さんがそれで、金のにわとりが鳴いた大石を、「にわとり石」と呼んでいいつたえてきた。
いっぽう、斉木村の人たちは、薬師さんをつれて帰り、それをまつった薬師堂が今につたわっている。
両方の村の人たちは、観音さんと薬師さんをともにたいせつに祭り、信心をしてきたということじゃ。
(春名雅さんの話)
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