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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 落岩〈おちいわ〉(上郡町)

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更新日:2013年3月4日

落岩〈おちいわ〉(上郡町)

上郡町大枝新田の下〈しも〉にある落岩〈おちいわ〉の話です。
大正のはじめ、私は赤穂から嫁〈とつ〉いできました。当時はまだ陸の交通よりも川の交通が重要で、赤穂からきたのは高瀬舟でした。落岩の所はとくに不吉な場所で、世間の人びとからおそれられていました。それというのは、交通の上で大へんな難所として旅人を困らせたからです。現在この地に立ってみても、ほんとうに困難であったことがよくわかります。

昔、昔のことでした。女遊びの大将といわれる人が、官女と舟に乗って月見の宴〈えん〉をひらいていました。
ところが突如〈とつじょ〉として、西がわにそびえる大きな岩がものすごい音とともに、青くよどむ千種川の渕〈ふち〉に落ちてきました。その時、三味〈しゃみ〉の音〈ね〉に合せて美しい声でうたっていた女官も、その舟も川底に沈められてしまいました。
その後、落ちた岩の水底にもぐると、美しい声と三味の音があわれをさそう調べとなって聞えてくるということでした。

また一説には、行者〈ぎょうじゃ〉がもっていた杖〈つえ〉を地面につくたびに、上につけた数個の金〈かね〉の環〈わ〉がひときは高くなり、その時、天地をゆさぶるかと思う大音響とともに、旅の行者の姿はみえなくなり、この世にかえらぬ人となってしまいました。前の場合と同じように、川底にもぐると今も杖についた環の音があわれに聞えてくるといいます。

その後洪水のたびに流れをせきどめ水害をうけるので、岩を切り取る話がまとまりました。ところが、岩の下〈しも〉にある井上〈いのかみ〉、大持〈だいもち〉の人びとが喜ぶはずがありません。岩を切り取ると、急流が自分たちの村に直接流れてくるというので、竹やりを持って、村人たちが押し寄せてきました。時の戸長、岩本氏はそれをしりぞけ、落岩を切り取ることに成功したということです。

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