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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 蛸〈たこ〉の足〈あし〉(赤穂市御崎)

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更新日:2012年10月29日

蛸〈たこ〉の足〈あし〉(赤穂市御崎)

赤穂御崎〈あこうみさき〉が、まだ、今のように有名でなく、さびしい漁師町〈りょうしまち〉だったころの話です。
ここに、昔から、「蛸〈たこ〉をたべることまかりならぬ。」という家訓〈かくん〉(家のさだめ)をもった家がありました。先祖代々、何百年もの間、それを守りつづけてきました。
そこで、そのわけを聞いてみました。

ある日のこと、この家の主〈あるじ〉が、御崎の北にあたる万五郎谷へ草刈りにいきました。ひと仕事のあと、少し休もうと腰をおろしますと、海岸のトリ石という岩の上に、大きな蛸〈たこ〉がひる寝をしているのが見えました。
あまり大きな蛸に見えたので、トリ石のところまで行ってみました。蛸は、人が近づいたのも気がつかずに、いびきをかいて寝ていました。
主は、ふと、こんな大きな蛸は、たべてもさぞうまいだろうと思ったので、いきなり持っていた鎌〈かま〉で蛸の足を切りとりました。蛸が怒って追ってきては大へんと、切りとった蛸の足を握って、一目散〈いちもくさん〉に走りました。家へ帰って、その足を煮〈に〉てたべました。とてもおいしい味がしました。
あくる日、主〈あるじ〉はまた万五郎谷へいってみました。すると、どうでしよう。トリ石の上に、足が七本になった蛸が、またひる寝をしているではありませんか。主は、きのうたべた蛸の足の味が忘れられず、足音をしのばせて蛸に近づき、また足を一本切ってもってかえってたべました。
こうして、そのあくる日も、またあくる日も、同じように、蛸の足を切ってもちかえり、煮てたべました。
八日目になりました。主がきようもトリ石のところにいきますと、一本足の蛸がやはりひる寝をしておりました。そっと近づいて、八本目の足を切ろうとしますと、蛸がはじめて眼をさまして
「蛸の足は、そんなにうまいか…」
と、いいました。
主はびっくりして、もう足を切るどころではありません。まっさおになって逃げて帰りました。
その晩から、高い熱がでて、
「蛸がものいうた、蛸がものいうた。」とうわごとをいいながら苦しみました。
それから、この家では「蛸は食べてはならぬ。」という家訓をつくって、代々まもってきたということです。

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