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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 歳桶〈としおけ〉のおこり(千種町)

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更新日:2013年2月4日

歳桶〈としおけ〉のおこり(千種町)

むかし、むかし、あるところに親切な男と、欲〈よく〉の深い男があったそうな。
ある年の瀬〈せ〉もせまった、おおつごもりの夜、みず知らずの人が死人を棺桶〈かんおけ〉に入れてかついで、この村へやってきちゃった。
欲〈よく〉の深い男のところへ行って、
「荷物〈にもつ〉が重うて困っとんで、しばらくあずかってくれんかいのう―。」と、いったそうな。欲の深い男は、棺桶なんかあずかって取りにこなんだら困るので、
「そんなもん、ようあずからん。」といってことわったそうじゃ。
みず知らずの人は、こんどは親切な男ところへ行って、
「棺桶を、しばらくあずかってくれんかいのう―。」と、いってたのんだそうな。親切な人は、この年の瀬に、こんなものをかついで歩くには何か事情もあり、困っているのだろうと思うて、
「それでは、あずかってあげよう。」といって、あずかることにしたそうな。
人のあずかりもんだし、大事にしなければと思うて、納戸〈なんど〉の奥へ持って入り、むしろをしいてその上において、たいせつにあずかっておったそうな。
正月がすんでも、みず知らずの人は棺桶を取りにこないし、とうとう正月十一日の朝、その棺桶をあけてみることにしたそうじゃ。
ふたをあけてみると、なんとおどろいたことに、棺桶の中には小判〈こばん〉がいっぱい入っていたそうな。
その家は、それいらいますます繁盛〈はんじょう〉したということじゃ。そして、それから歳桶〈としおけ〉をまつるようになったそうな。

おおつごもりの夜、家のだんなが桶ん中に米一升二合(約二・二リットル)お鏡〈かがみ〉ひと重〈かさ〉ね、小餅〈こもち〉十二個、銭〈ぜに〉十二文〈もん〉、カチグリ、ヒネリマメなどを入れて歳神〈としがみ〉さんにまつりこみ、正月十一月の朝歳桶をあけて十四日のホジョジ・ドンドに鏡餅〈かがみもち〉を火でこがし、それを干してカキモチを作るんじゃ。
そして、その年に初めて雷〈かみなり〉の鳴った日にそのカキモチを食〈く〉い、一升二合の米は、初田植のとき飯〈めし〉にたいて食うようになったんじゃそうな。

(大山源太郎さんの話)

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