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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 身代〈みが〉わり名号〈みょうごう〉(龍野市)

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更新日:2013年1月14日

身代〈みが〉わり名号〈みょうごう〉(龍野市)

「身代〈みが〉わり名号〈みょうごう〉」とは、揖保川町新在家〈いぼがわちょうしんざいけ〉の永富家〈ながとみけ〉に伝わる、家宝の仏様(掛け字)のことです。本願寺第八世法主蓮如上人〈ほうしゅれんにょうしょうにん〉の真筆〈しんぴつ〉と伝えられ、寛文〈かんぶん〉年間(一六六一~一六七二)竜野の住人畳屋七在衛門〈たたみやしちざえもん〉という人が持っていました。この仏様にまつわる話であります。

畳屋七左衛門に、ひとりの妹がありました。この妹は、たいへん信心深く、孝心のあつい娘でした。この娘が、毎朝早く、仏参のために家を出るのを見て、近所の人たちは、
「情夫〈じょうふ〉のもとに、かようのであろう。」
「おとなしい顔をして、わからんものだ。」
「知らぬは兄ばかりだ。」
など、うわさしました。七左衛門は、あの妹にかぎってそんなことはないと信じていましたが、うわさがだんだんひろがるにつれ、これはほんとうかも知れないと思うようになりました。家名を傷つけた妹を、このままにしておくことができず、ある朝、出かけた妹の帰り道に待ち伏せ、一刀のもとに切り殺してしまいました。
しかし、七左衛門は、さすがに実の妹を手にかけたふびんさに、せめて菩提〈ぼだい〉を弔〈とむら〉ってやろうと、仏壇を開いてみました。ところが、不思議なことに、御本尊の「南無阿弥陀仏〈なむあみだぶつ〉」の六字名号が、まっ二つに切れていました。そして、あたりいちめんにおびただしい血が流れ飛んでいました。
七左衛門がおどろいているところへ、たしかに切り殺したはずの妹が、かすり傷ひとつせずに帰ってきたので、二度おどろきました。七左衛門がわけを聞いてみると、
「仏参の帰り道で、急に激しい嵐〈あらし〉に会い、あまりの恐ろしさに気をうしなっておりました。」
「さては、お名号様が、信心深い妹の身代わりとなって助けて下さったのだ。」
と、兄妹は手をとりあって喜び合い、一生を仏に仕えることに決心しました。

このお名号様が元禄〈げんろく〉年間(一六八八~一七〇三)にいたり、夢のお告げによって永富家に安置されることになったということです。

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