• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 小五月祭〈こさつきまつ〉り・棹〈さお〉の歌〈うた〉(御津町)

ここから本文です。

更新日:2013年3月11日

小五月祭〈こさつきまつ〉り・棹〈さお〉の歌〈うた〉(御津町)

瀬戸〈せと〉内海の播磨〈はりま〉なだを見わたせる景勝地〈けいしょうち〉に室津〈むろつ〉の港があります。
古く江戸〈えど〉時代、参勤交代〈さんきんこうたい〉の大名〈だいみょう〉が、舟をとめ、軒〈のき〉をつらねて本陣〈ほんじん〉(大名のとまった宿)を構〈かま〉えた四百年前のようすがよく残っています。
また、県の重要文化財〈じゅうようぶんかざい〉としての賀茂〈かも〉神社のりっぱな社殿があり、謡曲〈ようきょく〉(うたい)の「賀茂〈かも〉」に、
「播磨潟〈はりまがた〉、室〈むろ〉のとぼその曙〈あけぼの〉に・・・」
とうたわれ、文豪〈ぶんごう〉、谷崎潤一郎〈たにざきじゅんいちろう〉の「乱菊〈らんぎく〉物語」に知られた伝説〈でんせつ〉とロマンスを秘〈ひ〉めた漁港風景があります。

「たち縫〈ぬ〉わん、たち縫わん
衣〈ころも〉きし人も無〈な〉きものを
何〈なに〉、山姫の布〈ぬの〉さらすらん」
これは「棹〈さお〉のうた」といって、平安朝〈へいあんちょう〉そのままのいでたち・・・・、ことば、音楽〈おんがく〉で、みやびやかに祭りが行〈おこ〉なわれています。
毎年四月に「小五月〈こさつき〉まつり」として子どもたちで奉納〈ほうのう〉されます。
賀茂神社の祭神は、別雷命〈わけいかづちのかみ〉でその昔、室〈むろ〉(室津)の長者〈ちょうじゃ〉の娘〈むすめ〉である「室君〈むろぎみ〉」が神前で申し上げたことば・・・が棹の歌であります。
「みんな、おいでえ!」
と、小学生から中学校の女生徒たちは、この日ばかりは大活躍〈だいかつやく〉です。神社の宝物〈ほうもつ〉である萌〈も〉え黄〈ぎ〉の袴〈はかま〉、上下〈かみしも〉、天冠〈てんかん〉、御幣〈ごへい〉というものを身につけ、音頭〈おんど〉出しと呼〈よ〉ばれる主役のうたう「棹のうた」に合わせながら、みこ・・三十二人、はやし・・・方〈かた〉六人をつれ、鼓〈つづみ〉のひびきを軒〈のき〉にこだませて、本陣のあった狭〈せま〉い道をゆっくりと歩いてまわります。
調子〈ちょうし〉は猿楽〈さるがく〉(室町時代の楽)の柏子〈ひょうし〉で、今もくちづてにつたえられ、日本音楽史のうえで、特筆すべきものといわれています。

棹〈さお〉の歌〈うた〉

(一)
たち縫〈ぬ〉わん たち縫わん
衣〈ころも〉きし人も 無〈な〉きものを
何〈なに〉、山姫の布〈ぬの〉さらすらん

(二)
棹〈さお〉あらし のどかにて
日影も匂う 天地〈あめつち〉の開けしも
さしおろす棹の
したたりなるとかや

(三)
さるほどに 春すぎ夏たけて
秋すでに暮れゆくや
時雨〈しぐれ〉の雲も かさなりて
峰〈みね〉、白妙〈しろたえ〉にふりつもる
越路〈こしぢ〉の雪の ふかさをも

(四)
しるやしるしの 棹たてて
豊年月の行末をはかるも棹の歌
うたいて いざや遊ばん

(五)
こことてや こことてや
室山〈むろやま〉かげの神かつら
賀茂〈かも〉の宮居〈みやい〉は幾久〈いくひさ〉し

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022