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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』西播編 > 山寺の和尚〈おしょう〉さんと小僧〈こぞう〉さん(相生市)

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更新日:2012年6月20日

山寺の和尚さんと小僧さん(相生市)

むかし、むかし、あるお寺に和尚〈おしょう〉さんと、ゆかいな小僧〈こぞう〉さんが住んでいました。

ある日、檀家〈だんか〉からぼた餅〈ぼたもち〉をもらいました。和尚さんは、あとでゆっくり食べようと戸棚にしまっておきました。そうして小僧さんを呼んで、「この戸棚を、けっしてあけてはいけませんぞ。」といいおいて、法要〈ほうよう〉に出かけていきました。
あけてはならんといわれるほど、小僧さんは戸棚の中が気になってしかたがありません。和尚さんの留守〈るす〉を幸いに、そうっと戸棚をあけて、中をのぞいてみました。

おいしそうなぼた餅が、お皿の上につんであります。食べたいなあ、食べたいなあ、と思っているうち、とうとうしんぼうができなくなって、「一つくらい食べてもわからないだろう。」
一つ食べました。甘くて、おいしくて、ほっぺたが落ちるようです。
「ああ、おいしい。なんと甘いぼた餅だろう。」
しばらくして、また腹の虫がきゅうきゅういい出しました。なまつばが出てきます。
「もう一つぐらい食べても、和尚さんにはわかるまい。」
もう一つぐらい、もう一つぐらいと食べているうちに、とうとうみんなたべてしまいました。

「さあ困ったぞ、和尚さんが帰ってみえたら叱られるぞ。何かいいくふうはないかな。」
小僧さんは、一生けんめい頭をひねって考えていましたが、ああよい考えが浮かんできたと、大急ぎで、本堂にいき、ぼた餅のあんこを本尊の阿弥陀〈あみだ〉さまの口につけて、しらん顔。やがて、法要から帰ってきた、和尚さんが戸棚ををあけてみると、楽しみにしていたぼた餅が一つもありません。すぐ小僧さんを呼んでたずねました。
「こりゃ、お前がぼた餅を食べてしまったんだろう。」
「知りませんょ。本堂の阿弥陀さまが食べられたのではありませんか。」
「金の阿弥陀さまが、おはぎを食べたりなさるもんか。」
本堂の阿弥陀さまを見ると、なるほど口もとにあんこがついております。和尚さんは、それでは阿弥陀さまに聞いてみようと、そこにあった鐘〈かね〉をたたく棒〈ぼう〉で阿弥陀さまの口をたたきました。
金の阿弥陀さまは、クワン!クワン!となりましたので、二人とも顔を見合せて笑い出してしまいました。

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