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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 花尻〈はなじり〉の稲株〈いなかぶ〉さん(三木市別所町花尻)

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更新日:2013年3月11日

花尻〈はなじり〉の稲株〈いなかぶ〉さん(三木市別所町花尻)

別所〈べっしょ〉町の花尻〈はなじり〉には昔、村の氏神〈うじがみ〉がなく、川向こうの和田の山上に共通の氏神がありました。村の祭りとか、何かの行事があるたびに、遠く和田まで川を渡って行かねばなりませんでした。こんな不自由はごめんだと、村の若い衆〈しゅう〉が相談して、和田の氏神さんをつれてきて、花尻でまつろうということになりました。ある夜、しめし合わせた若い衆たちは、こっそり和田に渡り、ご神体を持ち出して引きあげました。しかし、それと知った和田の若い衆が追っかけてきて、とうとう田圃〈たんぼ〉の中で大格闘〈だいかくとう〉になりました。ところが、そのすきをねらった花尻の若い衆の一人が、ご神体をかかえて逃げ帰りました。しかし、持ち帰ったご神体は、よく見るとただの稲株〈いなかぶ〉でした。

それからというものは、花尻の氏神のご神体は、稲株だと評判〈ひょうばん〉がたち、他の村の人びとも稲株大明神〈だいみょうじん〉、稲株大明神と呼ぶようになりました。これが原因で、和田と花尻の村は仲が悪くなって、二つの村の間では長いあいだ縁組〈えんぐみ〉しなかったといいます。

また、あのとき若い衆の足がもっと速かったら、追っかけられてつかまることもなかったでしょうし、間違〈まちが〉って稲株を持ち帰ることもなかったでしょう。それで稲株大明神が、もっと速く走る練習をせよ、とおっしゃったとおりに若い衆は練習にはげみました。このあたりの競技大会で毎年きまって優勝するといわれるのは花尻の若い衆だというのもなるほどと思われます。

(三木高校編、「伝説美嚢野」)

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