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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 六部さんと地蔵(志方町東飯坂)

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更新日:2012年6月1日

六部さんと地蔵(志方町東飯坂)

それはそれは昔、ある冬の日の夕暮れに、西の坂からおりてきた六部さん〈ろくぶさん〉がありました。日が暮れてまだ間もないというのに、もう、その顔だちやみなりは見わけられません。しかし、背に負った〈おった〉大きなふろしき包〈ふろしきつつみ〉は、いかにも印象ふかく感じられました。旅に疲れた〈つかれた〉のでしょうか、六部さんは、重い足どりで村へ入ると、道ばたの石にどっかと腰をおろしました。村人のひとりがその前を通りましたが、どちらからも声をかけませんでした。そのうち、六部さんは、元気をとりもどしたように腰をあげ、日暮れのやみの中に消えて行きました。

このことがあってから、村には、ふしぎなことがおこりました。六部さんが休んだ日暮れになると、

あの道ばたの石の前を通る人の耳に、どこからともなく、「わしは、谷の地蔵じゃ。」というささやきが聞えました。
日がたつにつれて、「わしもその声を聞いた。わたしも聞いた。」という人がふえてきました。そして、だれいうとなく、「あの六部さんが腰をおろした石が、ものをいうらしいぞ。」ということになりました。すると、「あの六部さんが背負っていたのは、谷の地蔵さんにちがいない。」という人もあり、「いや、あの六部さんこそお地蔵さんだ。」という人もあって、うわさはうわさを生みました。そして、これは、谷の地蔵さんが、この村におしえを垂れる〈たれる〉ために、六部さんをおつかわしになったにちがいない。あの六部さんは、谷の方から歩いてきて、どこともなく消えていったが、あの石の地蔵さんがのりうつられたのだ、ということに、みんなの意見がまとまりました。
これ以来、ゆかりのこの石は、谷の地蔵さんの分身としておまつりされています。

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