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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 媛〈ひめ〉が峠〈とうげ〉(志方町西志方)

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更新日:2012年11月19日

媛〈ひめ〉が峠〈とうげ〉(志方町西志方)

法華山〈ほっけさん〉の西、法華口〈ほっけぐち〉からまっすぐ北へ、昔の飾磨〈しかま〉郡小原村へ越〈こ〉す山道を媛〈ひめ〉が峠〈とうげ〉と呼んでいます。この山道が「媛〈ひめ〉が峠〈とうげ〉」と呼ばれるようになったのには、次のような悲しい話がのこっています。

昔、法華山のふもとに袈裟〈けさ〉太郎という盗賊〈とうぞく〉が住んでいました。その子分〈こぶん〉に、一人の農夫〈のうふ〉がありました。顔かたちもりっぱで、よくはたらくうえに、人がらもしんせつでした。そのため、だれも、袈裟〈けさ〉太郎の子分だなどとは知りませんでした。
夜になると、この農夫〈のうふ〉は、ときどき戸をしめて、どこかへ出かけます。妻に早く死にわかれ、一人あった娘は隣〈となり〉村へ嫁〈よめ〉にやって、たった一人で暮していたので、村人は、べつだんそれを怪〈あや〉しみませんでした。しかし、ほんとうは、おそろしい追〈お〉いはぎをしていたのです。

ある日のこと、この農夫は日の暮れるのを待ち、いつもの峠へ出かけました。今にも雨の降りそうなくらい晩で、とおる人はひとりもありません。
「えい、きょうはえもの・・・のない晩じゃわい。」
と舌〈した〉うちをしたとき、向こうから女らしい人かげが近づいてきます。
「女ひとりだな。」
とすきをねらって斬〈き〉りつけますと、「あれー」と叫〈さけ〉んで倒れました。農夫は、思わずギクッとしました。それは、どこかで聞きおぼえのある声であったからです。近よって死体の顔を見ますと、はたして隣り村へかたづいている一人娘でした。農夫は、びっくりぎょうてんしました。しかし、あとのまつり、どうともしかたがありません。
娘のふびん・・・さと、自分の罪〈つみ〉のおそろしさに、もう、居たたまれなくなったのでしょう。このとき以後、農夫はゆくえ知れずになりました。

やがて、こうしたことが村人たちにわかりました。人びとは、かわいそうなこの娘のために石の塔をたて、また、地蔵さんを刻んでその上にまつりました。誰がいい出したのかわかりませんが、世間では、これを「子切〈こき〉り地蔵」と呼び、この峠を「媛が峠」といっています。

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