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更新日:2012年12月17日

ゆるぎ岩(加西市畑町)

加西市畑町いなぎ谷の奥に高さ約五メートル、周囲約八メートルの大きな岩があります。この岩をゆるぎ岩といって、神石として不思議〈ふしぎ〉ないいつたえがあります。中部はふくらみ、上部は尖〈とが〉って下部は細くてまわりは三メートルほどあります。
この岩の下にまた大きな岩があって、重ねておいたようになっていて、その上の方の岩をおすとゆれうごき、それでゆるぎ岩の名がついたのです。

むかし、法道仙人〈ほうどうせんにん〉がインドから日本にきて、法華山〈ほっけさん〉をひらいた後〈のち〉、播磨国〈はりまのくに〉数十か所に霊所〈れいしょ〉をひらきました。そのときこの村にも高い峰〈みね〉をひらき、猿田彦命〈さるたひこのみこと〉のお告〈つ〉げによって、伊弉諾尊〈いざなぎのみこと〉、伊弉冊尊〈いざなみのみこと〉を祀〈まつ〉りました。そうして善人〈ぜんにん〉か悪人〈あくにん〉かを試〈ため〉し、もし悪人があれば善人にかえそうと誓〈ちか〉い、この山の大岩に向かって呪文〈じゅもん〉をとなえました。
そして仙人は自分の手でその岩を押しゆるがし、「後の世になって、貴賎貧富〈きせんひんぷ〉の別なくここにきてこの岩を押し、岩が揺〈ゆら〉いだならばその人は善人である。揺〈ゆる〉がなかったならばその人は悪人である。すなわち善人がきて押すときはこの岩はゆらぐだろう。悪人がきてどんなに大力〈だいりき〉をもってこの岩をおしてもゆらがないだろう。」といいました。
そうして、「この岩をおこしてみて動かぬときは自身〈じしん〉に罪悪〈ざいあく〉があるか、邪念〈じゃねん〉があるためである。そのうちに神仏〈しんぶつ〉の罰〈ばつ〉をうけるものだと心得〈こころえ〉て、さっそく伊弉諾〈いざなぎ〉、伊弉冊〈いざなみ〉の神社にまいり自分の罪悪〈ざいあく〉を懺悔〈ざんげ〉して正直慈善〈じぜん〉の人間に立ちかえれ。」と里人〈さとびと〉につげて立ち去りました。
それから里人がここにきて岩を押して自分の内心〈ないしん〉を試〈ため〉してみると、ピタリとあって仙人のいったことと符節〈ふせつ〉をあわすようだったのです。それからは近くの里人はこの岩を霊石〈れいせき〉としてあがめるようになり、遠くからもこの岩に詣〈もうで〉る者が多くなりました。
この地をいまもいなぎ・・・というのは祭神の伊弉諾〈いざなぎ〉から「いざなぎの谷」といったのを「いなぎ」と訛〈なま〉ったのでしょう。

このゆるぎ岩を詠〈よ〉んだ詩歌〈しか〉が昔からたくさんありますが、左に二つ記しておきましょう。

ゆるぎ岩 野之口隆正
ゆるぎてもねさしゆるがぬゆるぎ岩 ゆるがぬ御世のたぐいなりけり

読み人知らず
み山なるたきのかたえのゆるぎ岩 ゆりすきわたる河上の岩

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