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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 菱形池〈ひしがたいけ〉の豆だぬき(加古川市別府町新野辺)

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更新日:2012年11月19日

菱形池〈ひしがたいけ〉の豆だぬき(加古川市別府町新野辺)

加古川の南方、播磨灘〈はりまなだ〉に接して新野辺〈しのべ〉というところがあります。附近は、一帯に川が少なく、潅漑〈かんがい〉用水は池にたよらねばなりません。そのため、まわりには、大小いくつもの池が掘られました。菱形池〈ひしがたいけ〉も、もちろんそのひとつ、池の形をそのまま名とした小さいものです。しかし、この池のまわりには竹や、つばき・うるしなどがいっぱいに茂り、南がわの堤〈つつみ〉には一本の大きな木さえ生えていました。いつごろからでしょうか、この木の根元〈ねもと〉に、一ぴきの豆だぬきが住みついたのです。

この豆だぬきは、毎晩、子〈ね〉の刻〈こく〉(夜の十二時)になると、きまって赤ん坊の泣くような声を出します。村の人や通行人は、それを聞くと気味〈きみ〉わるくなり、中には、恐ろしさに足のすくむものもありました。池の持ち主はそれを聞いて、
「それでは、この木を伐〈き〉りましょう。」
といいました。
翌日、腕達者〈うでたっしゃ〉な木挽〈こびき〉が呼ばれました。木は、根元から伐るのが定法〈じょうほう〉ですが、豆だぬきの居るところは気持が悪く、そこから二メートルばかり上を伐りかけました。すると、ふしぎにも、切口から水がタラタラと流れ出しました。
「これはいけない。」
と、もっと高いところに大鋸〈おおのこぎり〉をあて、やっと伐り倒しましたが、この木挽は、一日おいた次の日から急にからだが痛み出し、七転八倒〈ひちてんはっとう〉しました。村人たちは、
「きっと、豆だぬきがあたん・・・(あだうち)をしたのだろう。」
と、ささやきあったということです。

(『加古川市誌』二)

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