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更新日:2012年6月1日
小屋寺〈こやでら〉(吉川〈よかわ〉町福吉〈ふくよし〉)の本堂は室町〈むろまち〉初期の建物といわれ、昭和二十七年七月重要文化財に指定されました。この七間四面の本堂を建てる時の話です。
「本堂建てなー(建てなければ…)。」
といいながら、梅雨のころ工事なかばに大工の棟梁〈とうりょう〉が高熱で倒れて、とうとう亡くなってしまいました。棟梁の妻や弟子たちが葬式〈そうしき〉の相談をしていると、一羽の青白い小鳥が棺〈かん〉の中からスイと飛び出して、本堂の方角にいってしまいました。棺の中を見るともぬけのからで、白い装束〈しょうぞく〉がのこっているばかりでした。工事が気にかかる棟梁は、鳥になってでき具合を見に行ったのだと、みんなその執念〈しゅうねん〉におどろきました。
その後、村の人びとは梅雨のころになると、毎年どこからともなく飛んできて本堂の屋根の上で、「本堂建てたか、ホンドウタテタカ。」と鳴く鳥の声を聞くと、「今年もはや本堂鳥がきた、棟梁の魂〈たましい〉がかえってきた。」と、うわさしながら田植の準備をするのです。
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