ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 荒神谷〈こうじんだに〉の猫石〈ねこいし〉(志方町西志方)
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更新日:2012年10月22日
山中〈やまなか〉から姫路に通じる荒神谷〈こうじんだに〉の話です。
女荒神をまつる山の中ほどに「猫石〈ねこいし〉」と呼ぶ石がありました。今の荒神谷は、山の木が伐〈き〉りとられ、見はらしがよくなりましたが、四、五十年前までは木がよくしげり、昼でもひとり通るのは気味わるいところでした。それだけに、ここで追〈お〉いはぎにあった、という話がよく聞かれました。ところが、いつのころからか、これらの悪者〈わるもの〉が待〈ま〉ち伏〈ぶ〉せしているときには、きまって猫のなき声がするようになりました。しかし、猫の姿を見た人はひとりもありません。人びとは、だんだん、道ばたにある石が猫のなき声を出していることを知り、これを「猫石」と名づけました。そして、
「この石が猫の声を出すときは危険〈きけん〉がせまっている。」
と語りあい、すぐ引き返して災難〈さいなん〉をのがれました。
行こうか もどろか 荒神谷は、猫がないたら あともどり、
聞くもおそろし 荒神谷は、猫がないたら あともどり。
こんな歌がいつのころからか、うたわれました。
この猫石を、だれがもち去ったのか、今は、ありません。
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