• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > お菊〈きく〉むし(滝野町下滝野)

ここから本文です。

更新日:2012年12月17日

お菊〈きく〉むし(滝野町下滝野)

皿〈さら〉やしきの悲〈ひ〉げきで知られているお菊さんは、恋のねたみをうけて、主人がたいせつにしている皿をかくされたあげく、殺されそうになり、やっとのことでにげだしました。とほうにくれてたどりついたのが、下滝野〈しもたきの〉村でした。お菊さんは、庄屋〈しょうや〉の家をたずね、泣きながらかくまってくれるようたのみました。かわいそうに、すっかりやつれてしまった美しい娘さんの身のうえ話を聞いた庄屋は、こころよくひきうけてくれました。お城をにげだしてから、一日も心をやすめることができなかったお菊さんが、感謝したことはいうまでもありません。しばらくのあいだ、お菊さんにとって、人のなさけをしみじみとかみしめることができるやすらかな日が続きました。

ところが、かわりやすいは人の心のつねです。あれほど同情してあたたかくかばってくれた庄屋が、姫路のお城へ知らせたのです。ほうぼうに立てられたお菊さんをとらえる高札を見て、急にほうびの金がほしくなったのでしょう。まもなく、あらあらしいさむらいたちが大ぜいやってきて、お城へとひったてて行きました。そのうち、村びとたちは、いつとはなしに庄屋の家を「お菊やしき」とよびはじめました。庄屋のひどいしうちへのいかりと、お菊さんへのあわれみがそうよばせたのでしょう。

さて、何年かたって、庄屋の家にひとりの女の子が生まれました。お新〈しん〉と名をつけて、たいへんかわいがりましたが、生まれつき知能のおくれた子でした。村びとたちは、お菊さんのうらみが子にむくいられたのだとささやきあいました。両親は、何とかしてこの子をふつうの子にしてやりたいと、仕事もそこのけにしていろいろ手をつくしましたがだめでした。そのかなしみのためか、家はだんだんびんぼうしていき、両親もあいついでなくなりました。お新さんは、その後もかなりなが生きをしました。

やがて、お新さんがなくなったのと前後して、お菊やしきのふきんの木に、みのむしとよくにた虫がたくさんあらわれはじめました。ちょうど、人がしばられたかっこうで、木の枝にぶらさがっているところから、人びとは「お菊むし」とよびました。役人にしばられ、つれていかれたお菊さんを思いだしたのでしょう。
しかし、今ではそのお菊むしも、ほとんど姿を見かけなくなってしまいました。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022