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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 長い長い名前(三木市府内)

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更新日:2013年2月25日

長い長い名前(三木市府内)

昔、ある家に元気な男の子が生れました。この子が将来りっぱな人間になるためには、良い名をつけてもらわねばならないと、母は寺の和尚〈おしょう〉さんの所へ出かけて頼みました。和尚さんは、はじめ普通の子どもと同じように、短い名前をつけましたが、母親は気に入〈い〉りません。もっと長い名がほしいといいました。和尚さんは、さらに長い名前を考えましたが、それでもだめだというのです。しまいに和尚さんは、
「こんな名はどうじゃな。」
といって、次のような長い長い名前をつけました。

ヒイトコ ヒイトコ ヒイメガミ チキチキセイヨノ カメノチヨノ タバタバイッチヨンギリカ チヨンギリカ チヨチヨラノ テンモク モクモク チヨツポイナ

やっと母親は満足して、この名前をいただいて帰りました。この子は健〈すこ〉やかに成長して、五つか六つになったころ、友だちといっしょに野原で遊んでいました。どうしたはずみか、足をふみはずして、野井戸〈のいど〉に落ちこんでしまいました。友だちはびっくりして、ヒイトコの家へかけつけてさけびました。
「おばさん、おばさん、ヒイトコ ヒイトコ ヒイメガミ・・・チヨポイナちゃんが、井戸にはまった。助けてあげて。」
それを聞いた母親は、まっ青になり、力の強い若者を呼びに走らせ、自分は野井戸へかけつけ、
「おうい、ヒイトコ ヒイトコ ヒイメガミ・・・チヨツポイナよ。しっかりせいよ。すぐ助けてやるぞオ。」
と大声でさけびました。若者たちも井戸の中へ、はしごをおろして引きあげましたが、もうその子の息は絶〈た〉えていました。

(山田宗作著「姫神の民話」)

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