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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 雲潤の里(西脇市水尾町、加西市油谷町)

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更新日:2012年6月1日

雲潤の里(西脇市水尾町、加西市油谷町)

雲潤〈うるみ〉の里(加西市油谷〈ゆだに〉町あたり)と法太〈ほうだ〉の里(西脇市水尾〈みずお〉町あたり)は、一つの山の南と北にある村です。
おおむかしのこと、この二つの村は水ぶそくになやまされていました。村びとたちがいっしょうけんめいに田植をしても、そだたずにかれてしまうことがたびたびでした。
「かわいそうに、何とかしてやらねば村びとたちは死んでしまうかもしれない。」法太の里をおさめていた丹津日子〈につひこ〉の神は、いろいろ考えたあげく、おく山のふところから水を引いてくることにきめました。そして、同じことなら南の村へも送ってやったらよろこぶだろうと、相談にでかけました。

あつい日ざかりの山道をやっとのことでこえ、南の山すそまでたどりつきました。この村の田も水がたりないので、稲がかれかけています。ところが、雲潤〈うるみ〉の里のあるじの太水〈おおみず〉の神は、すずしい木かげでひるねをしていました。丹津日子〈につひこ〉は、そののんきさにあきれながらこえをかけました。
「もし、太水〈おおみず〉さん。村びとたちが水にこまっているので、川をほろうと思いますが…。」「ああ、それはけっこうな話ですね。ごくろうさま。」太水の神は起きあがりもせず、だるそうに答えました。
「あなたの村へも引きませんか。いっしょにがんばりましょうよ。」「いや、私の村はけっこう。あなたひとりでやってください。」

あいかわらずほおづえをついたままです。丹津日子〈につひこ〉は、そのようすに腹がたってきました。
「しかし、あなたの村の人びとも水にこまっているじゃありませんか。」「いざとなれば、私にはとっておきの方法があるんですよ、丹津日子〈につひこ〉さん。ごしんせつはかんしゃしますが…。」「そんな方法があるものですか、この日でりに。水はすっかり干あがって〈ひあがって〉しまっているんですよ。」「方法というのはね、この山にいる、いのししをころし、血をわけてやるんですよ。水のかわりに。」「あなたは川をほるのがめんどうだから、そんなことをいうんですね。いや、それにちがいない。」丹津日子〈につひこ〉はカンカンにおこって帰ってしまいました。

そのころは、なまけることを「うみ」(倦む)といいました。それで、太水〈おおみず〉の神が住んでいた村を雲潤〈うみ〉の里とよび、だんだんなまって「雲潤〈うるみ〉の里」となりました。
また、丹津日子〈につひこ〉の神のおかげで、法太〈ほうだ〉の里は川がゆたかに村をうるおしていますが、雲潤の里の人たちはため池を作ったり、いど水をくみあげるなどの苦労をしなければなりませんでした。

「播磨風土記」

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