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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』神戸編 > 雨乞〈あまご〉いと虫おくり(須磨区車・妙法寺)

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更新日:2013年1月21日

雨乞〈あまご〉いと虫おくり(須磨区車・妙法寺)

妙法寺〈みょうほうじ〉川に沿〈そ〉った車〈くるま〉や妙法寺は、むかしは谷あいの農村でした。人びとは田植えからのち、秋の取り入れの日まで、心をこめて田や畑の作物の世話をしました。しかし、今のように農業技術や土木工事の発達していない時代には、自然の災害〈さいがい〉は、作物のみのりに大きな被害〈ひがい〉をあたえるのでした。このような天災〈てんさい〉の中に、水不足や害虫の発生があります。そのころの人びとはそのような災〈わざわい〉を、どのようにして防いだのでしょう。
水不足の時、人びとは雨乞〈あまご〉いをしました。

大正の末に、五十日以上も日照りがつづき、池の水も井戸の水も干上〈ひあ〉がってしまったことがあります。稲〈いね〉や野菜〈やさい〉にあたえる水ばかりか、人びとの飲み水すら残り少ないありさまでした。村中の人びとは、ひたいを寄せあって相談をしました。集会所での話し合いのうち、誰いうとなく、雨乞いをしよう、ということに話が決まりました。村の北西に落合山〈おちあいやま〉という山があります。その山中の一番高い所に、たき木を山のように積みあげました。その間に、選ばれた二人の村人が、琵琶湖〈びわこ〉にうかぶ竹生島〈ちくぶじま〉(滋賀県)の弁天〈べんてん〉さまに参って、ご祈祷〈きとう〉をしてもらい、火をいただいて村へ帰ってきました。二人は神さまからいただいた火を、火縄〈ひなわ〉につけて帰ってきたのです。村人やお坊さんが、もう一度その火においのりをして、いよいよ山の上のたき木にその火を移しました。
パチパチという音とともに、天にもとどくかと思われる火柱〈ひばしら〉を立てて、たき木は燃えあがりました。
するとどうしたことでしょう。空がにわかに暗くなり、ザーッと雨が降りだしました。人びとは、「わっ」とよろこび、ぬれながら山をおりていったということです。

さて、毎年、夏の土用〈どよう〉の三日目には、虫おくり行事〈ぎょうじ〉もありました。むぎわらでサネモリの人形を作り、一人の村人がそれをかついで、隣村との境〈さかい〉をねりまわるのです。この人のまわりに、火のついたタイマツを持った四、五人の人びとがしたがい、また五人の人がカネやタイコを打ちならしながら一行に加わります。人びとは口口に大声で、

「サネモリ ごしょらく 稲の虫は お供〈とも〉せい」

と、となえます。村境をまわったあと、定められた場所に人形を立てかけ、タイマツとともに燃やしてしまうのです。メラメラッと燃えるむぎわらのサネモリ人形といっしょに、稲につく悪い虫どもも焼けほろんでしまう、と考えられていたのです。この虫おくりの行事も、六十年以上も前にすたれてしまったそうです。

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