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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』神戸編 > しばり地蔵〈じぞう〉(垂水区平野町)

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更新日:2012年11月12日

しばり地蔵〈じぞう〉(垂水区平野町)

しばり地蔵〈じぞう〉とは、その名のとおり、しばられるお地蔵さんのことであります。お地蔵さんは、何も悪さをしたわけでないのに、この地蔵さんを拝みにくる人たちが、なわで、ぐるぐるしばりにするのです。考えてみると、気の毒〈どく〉なお地蔵さんです。

この気の毒なお地蔵さんは、垂水区平野町の慶明〈けいめい〉というところにあります。なんでも鎌倉時代の石造物ということですから、市内でも数すくない古さのねうちを持っているといえるでしょう。
このお地蔵さんは、たいへんなさけ深いかたでありまして、人びとのねがいごとを、よくききとどけてくださるというのであります。ねがいごとがありますと、このお地蔵さんに願〈がん〉かけをします。その際〈さい〉、見事に願いごとがかないましたら、このなわをといてあげます、というわけで、ぐるぐるなわで、お地蔵さんのからだにまきつけます。願いごとがかないますと、このなわをときにやってくるのです。

こういう人間くさい考え方の信仰はほかにもあります。この地方はよく日でりがつづきまして、そのため、田や畑の作物が全滅〈ぜんめつ〉する被害〈ひがい〉が、いままでにも何回となく起こりました。日でりつづきの夏には、「雨乞〈あまご〉い」という行事も行なわれました。ため池の土堤〈どて〉に集まって、火をたいておどったり、また氏神様にお祈りしたりもしました。たとえば、神様の社殿で、悲しい物語の芝居をして、神様のお涙をおねがいするところもあります。
また、神社の庭石に、カニをつぶしてぬりつけたり、雨ガエルをたたきつけたりして、神様が、「これはたまらん、早く洗い落とそう。」と雨を降らしてくださるという考えで、お祈りするところ(西宮市)もあります。
すぐ北どなりの神出町では、タコのくろべ(すみ)を神様のこまいぬなどにぬりたくって、お祈りしていました。これなどもよく似〈に〉た考え方のお祈りです。
神様や仏様を、人間と同じような親しさで考えようとしています。これは、信仰の中でもたいへん古い形のもので、今のように、神社やお寺ができていない、もっともっと古い時代のころからつづいている信仰のかたちです。むずかしいことばでいいますと、原始宗教〈げんししゅうきょう〉とよばれる形です。

古い時代には、神や仏がはっきりしておりませんでしたから、自然というものを神としてあがめる信仰がありました。そのころは、神そのものが、直接人間の生活に結びついていましたから、大きなお社がなくても、神様は人びとからたいへん親しまれました。
今でも、生活の中に生きている神様はたくさんあります。節分〈せつぶん〉の豆まき(鬼追い)なども、その一つです。しらべてみるとおもしろい神様や仏様が、たくさん身近にあるのにおどろきます。

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