• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > 白髪神社となまず(朝来町)

ここから本文です。

更新日:2013年1月14日

白髪神社となまず(朝来町)

生野町〈いくのちょう〉円山〈まるやま〉に源〈みなもと〉を発し、朝来町〈あさごちょう〉を南から北に貫流〈かんりゅう〉する円山川は、古来〈こらい〉よりの暴れん坊で、特に山口村で、神子畑川〈みこばたがわ〉と合流し、急激に川幅〈かわはば〉を増すふきんより、その暴れん坊ぶりは有名でした。
ですから、下流の山口村新井在〈にいざい〉などは、大洪水〈こうずい〉にはもちろん、小洪水でも、その被害は大きく毎年のように田畑は冠水〈かんすい〉し、ひどい所は河原のようにさえなることがよくありました。
そこで衆知〈しゅうち〉を集め、いろいろと手だてを講〈こう〉じましたが、いっこうにききめもなく、せっかくの田畑も荒れるにまかせる年もあり、農耕〈のうこう〉を主とするこの地の生活は、苦しい時が多くありました。

そのころ、たまたまこの地を通りかかった中国人があり、この話をきいて、
「それは、難儀〈なんぎ〉なことだ。何かの怒〈いか〉りにふれているのではなかろうか。社〈やしろ〉を作り、その魂〈たましい〉を安〈やすん〉じなければ、わざわいはなくならないだろう。」
と言って、この地にしばらくの間〈あいだ〉住みつき、合流する地点より少し下流の川のほとりに自〈みずか〉ら指揮〈しき〉し、木を刻〈きざ〉み社〈やしろ〉を建てこれを祭りました。
この社を建てたことやら、治水〈ちすい〉に努〈つと〉めたおかげで、毎年暴れまわった円山川も、大きな被害もなくおだやかな年月がすぎました。
この社を、誰いうとなく、その中国人の名をとって「白髪〈しらひげ〉神社」と言うようになり、人々に伝えられて来て、年々の祭を営〈いと〉なんでおりましたが、おもしろいことにこの「白髪神社」には、何がおまつりしてあるのか、誰も知りませんでした。
しかし、この社を、ともに建てた古老〈ころう〉の口から
「この社には、この川の主〈ぬし〉である、なまずが祭ってあるのだ。」
と、まことらしく伝えられ、この地区の人々は、これを深く信じ、以来なまずを、神の使いとして、食〈しょく〉せず、仮〈か〉りに間違って捕〈とら〉えても、決して害を加えず丁寧〈ていねい〉に放つなど、それはそれは大事にとり扱いました。
この風習〈ふうしゅう〉は長い間、守〈まも〉られ続けておりました。

また、一説〈いっせつ〉には「白髪」すなわち「なまず」というのもあり、この地区となまずの関係はふかいようです。

このように、川にまつわる話が多くありますが、実存〈じつぞん〉するこの「白髪神社」の建立年月日〈こんりゅうねんがっぴ〉やら建立者や祭神〈さいじん〉が何であるかは、わかりませんが、
「なまずを捕えたり、食したりしてはいけない。」という風習は、新井〈にい〉地区の人々に長い間伝えられ、守られて来ました。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022