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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > 蛙〈かえる〉と猿(美方町神場)

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更新日:2012年9月10日

蛙〈かえる〉と猿(美方町神場)

秋もおわりごろでした。すっかり稲刈〈いねか〉りもすんでからのことです。
一匹のかえるが、せっせと稲穂〈いなほ〉をひろいあつめ、臼〈うす〉を持ち出し、もち・・をついていました。するとそこへ一匹のさるがでてきました。そして、さるはいいました。
「かえるさん、かえるさん。ぼくがもち・・をついたげましょか。」
かえるは、これはありがたいと思い、よろこんでさるにもち・・をついてもらいました。
さるは考えました。
「このままでは、せっかくのもち・・も半分しかくわあもないなあ(食べようもない)。」と、
そこで、さるはもち・・のつけるのをまって、
「かえるさん、かえるさん、もち・・はつけたし、このままくうのはおもしろうない(おもしろくない)、いっさ(いっそのこと)もち・・を臼といっしょに、下の谷へころがして、はようそのもち・・の所までおりたものがこのもち・・をくうことにしたらどないだらあ(どうだろう)。」と、話をもちかけました。
かえるも、「それはよかろう。」と相談はまとまりました。
そこで、かえるとさるは「よいしょ。」とばかり、もち・・の入った臼を下の谷へころがしましたが、そのひょうしに、もち・・は臼から出て木の株〈かぶ〉にひっかかってしまいました。もち・・のとび出した臼はゴロゴロ、ゴロゴロいきおいをまして谷へころんでいきます。さるは臼を追いかけるように山をかけおり、とまった臼のところへたどりつきましたが、臼の中にはもち・・はありません。

「あれ」と思って、谷底から上をみあげると、かえるは山の上の切り株にすわって、おいしそうにもち・・をたべています。さるはしぶしぶとかえるのところへ登っていき、切り株のよこへすわりました。そして、かえるがもち・・をたべるのを見ながら、残念そうにいいました。
「かえるさん、かえるさん、もち・・が流れるがの。」と、
かえるは、「流れるとこから、なんぶりしょ。」といって、つきたてのもち・・をたべます。
「かえるさん、かえるさん、もち・・がたらけるがの。」と、さるはほしそうにいいます。
かえるは、「たらけるとこから、たんぶりしょ。」といって、みるみるうちに、さるの前でもち・・をたべてしまいました。
あまりよくばると、損をするというおはなしです。

(美方町 上治すみ 談)

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