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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > じゃあじゃ山のうわばみ(城崎郡竹野町竹野)

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更新日:2012年6月11日

じゃあじゃ山のうわばみ(城崎郡竹野町竹野)

そうだなあ、わしらのじいさんのじぶんのはなしだちゅうことだが、じゃあじゃ山にうわばみがすんどってなあ、それを見るとたたるちゅうことだで、だあれもこわがって、かりゅう(山の斜面のだんだん畑)に行くもんが、なあなっちまったちゅことだ。
へえだのに、じん太だっけは、大きなふご(わら製のもの入れ)にいっぱいもんばぁ(海草)入れて、ふてえてんびんぼうでかついで、平気でかりゅうに行っとたんだげな。力じまんでなあ、すもうがつようて「うわばみちぁなにがこわいだぃや、出てきたらたいじしちゃる。」といってひとりだっけ、かりゅうに行っとたんだそうな。


ある日のことだげな、あんまり天気がええもんだで、ねむたあなっちまってな、どてのところにごろんとねころんでねちまったちゅうわえ。ええかげんしてから、「ヒュー、ヒュー」いう音で、ひょいと目をさましてみると、なんとまあ、じん太のねとったすぐねきの大きなたちぐわの木に、くわの木よりもふてえやな、せなかにこけのはえたやな大きなうわばみが、ぐるぐるまきついとって、木のまたのところに首をちょこんとのして「ヒュー、ヒュー」いびきかきもってねとるんだげな。
じん太は、びっくりしちまってなあ、思わずにげださあとしたんだけど、いつっもじまんしとるのに村のしゅうにわらわれたらわりいと思ったもんだで、そおうと木のねき(近く)にきて、うわばみのしっぽを木にくくりつけてから、てんびんぼうであたまぁ力いっぱいなぐりつけたんだげな。
さあ、気もちようねとったうわばみは、おこったのなんのって、一斗だるでもはいりさあげな口をかあとあけて、赤いしたをベロベロだしもって、頭から血だらだら出しもって、じん太にかみつかあとしたんだげなけど、しっぽくくられとるもんだで、どないしてもとどきゃひん。なんべんとびかかってもとどきゃひん。そないしてあばれまわっとるところを、たたいて、たたいて、たたきまくって、とうとう、こわしちまったちゅうがな。
村のしゅうは、「なんちゅう、ぎゃあ(なみはずれ)なもんだ。」「とうとう、たいじしたげな。」とかんしんはしただけども、「たたらんにゃええがなあ。」と、やっぱりかりゅうには、だあれもいくもんがなかったげな。


それから何日かしたじぶん、いつものようにじん太がひとりで仕事しとったら、下から大きなおなごがひとりでのぼってきたんだげな。じん太は「このへんじゃ見んかおだが、それにしてもめずらしいことがあるもんだなあ。」と思いもって見とったんだげなが、そのうちにおなごは、じん太のねきまでくると「おまえさんがじん太さんかいな、わしは、夫が悪者にころされちまったで帰ってきたんじゃが、なんとかかたきをうちとうてな。おまえさんは、すもうがつよいそうじゃが、わしにおしえてくださらんか。」といって、たのむんだそうな。
じん太は、おなごとすもうとるのは気がすすまなんだけど、あんまりなんべんもたのむもんだで、とうとう、すもうおしえることになったんだげな。はじめくみついてきたときは「なんちゅうぬるぬるしたつめてえおなごだらあ。」と思ったげなけど、すげえ力でくらいついてくるもんだで、それどころでなあなって、いっしょうけんめえとっとったんだげな。
そのうちに、おなごは、手が五本も六本もあるみたいに、首もむねもはらもこしも足もしめつけてくるもんだで、じん太は、「こりゃおかしいぞ、ひょっとすると、うわばみのおかあ(女房)が、かたきをとりに来たんかもしれんぞ。」と思いはじめたげな。そこで、足かけておなごをこかして、くびったまをしめあげるちゅうと、なんと、三間も四間もあっちのほうで、「ドタン、ドタン」と音がするちゅうわえ。
「こりゃまちがいねえ、うわばみのおかあだ。」ちゅうんで、まっさおになったけど、うまいぐあいにてんびんぼうが目に入ったもんだで、「これだ。」と思って、力いっぱいおなごをつきとばすと、てんびんぼうをつかんでむちゃくちゃにふりまわしたんだそうな。すると、おなごは「パッ」ときえちまったちゅうがな。
じん太は、ほうほうのてえで、家までにげ帰ったんだそうなが、そのまんま熱う出してねこんじまったそうな。それからうわばみを見たちゅう話はきかんやあになったけども、じん太は、そのまんま、しんじまったそうな。

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