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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > サルの魚つり(養父町奥米地)

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更新日:2012年11月5日

サルの魚つり(養父町奥米地)

むかし、昔。どこだか知らんけど、サルが歩いとると、クマが、サケをかたげて(かついで)出て来た。
「クマさん、クマさん。そのサケは、どなぇして捕んなった。」
「大〈おお〉うけなサケじゃろうが。わしは、手でつかんだ。が、おまえなら、しりほ(尾)で釣〈つ〉るがええ。」
「あら、わしのしりほで、サケがつれるかいな。」
「うん、つれる、つれる。しりほを、池の中につけとると、わけもないつれるがな。」
「そうか、ほんなら、わしも釣ってみるで、釣り方を教えてくれぃや。」
「そら、やすいこっちゃ。今夜はよう冷えるで、大〈おお〉けえのが釣〈つ〉れる。今夜、池のはたに来え。」
サルは、大よろこびで、日が暮れるのを待って、池のはたへ行きました。しかし、クマは、なかなか来ません。サルが「だまされたかな。」と思って、帰りかけると、ニタニタとうす笑いを浮〈う〉かべて、クマが出て来ました。
「サルどん、もう来ておったか。まんだ早いが、この木につかまって、しりほを池へつけてみいや。」
「よしや。こうしたらええか。」
サルは、教えられたように、池のそばの木をかかえて、尾を水の中につけると、クマは
「もっと、しりほの元までつけいや。けつが、つかるぐらいつけたら、大うけなのが釣れる。」
サルが、居〈い〉ずまいを直して、おしりも水につけると、
「サルどん、それでよかろう。そのまま、じっとがまんしとれ。いごくと、つれかけたサケがにげるぞ。」
サルは、言われたように、じっとがまんしとると、夜がふけるにつれて、池に氷がはりはじめた。
「クマさん、けつがピリピリ痛いがの。」
「そうか、ほんなら、サケがつつくんじゃ。がまんしとれぇよ。」
「チクチクと、針でさすほど痛いがの。」
「そうか、ほんなら、大うけなのが釣れるんじゃ。がまんしとれ。」
いうて、クマは山へ帰っていきました。サルは、痛さをがまんして、サケの釣れるのを待っていました。
そのうち、サルは、もう、がまんできなくなり、しりほをあげよう、とすると、いてついたしりほは、ビクとも動かん「サテこまった。」と、もがくが、どうにもならん。
やがて、東の空が明るくなりかけたので「このままでは、人に見つかって殺されやも知れん。」と思ったサルが、かかえていた木をたよりに、力まかせに立ちあがると「プツーン」と、音がして、しりほが、根本〈ねもと〉から切れてしまった。
それでその時から、サルのしりほ(尾)はなくなり、顔が赤くなったそうな。

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