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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > 難儀〈なんぎ〉にあわれた仏様(山東町)

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更新日:2012年12月24日

難儀〈なんぎ〉にあわれた仏様(山東町)

山東町楽音〈がくおん〉寺というところに、正覚山〈しょうかくざん〉楽音寺という古いお寺があります。そのお寺のご本尊様(寺の中心の仏様)は一尺〈しゃく〉二寸〈すん〉(約四十センチ)の黄金の薬師如来像〈やくしにょらいぞう〉(病気をなおす仏様)であります。
この仏様の右半身は焼けただれた無惨〈むざん〉な姿をしておられまするが、実に霊験〈れいけん〉あらたかな仏様で、近所の身体の不自由な人や、難病で困っている人たちの信仰の中心であるといわれています。
そこで、その仏様の由来について、村のお年寄りに聞いてみました。

こおつと、いまから四百年も昔のこっちゃそうなが、がっこんじ(楽音寺)のお寺へ、ぬすっとがへえって(入って)、薬師〈やくし〉さんをぬすんで逃げたんじゃげな。ほして(そして)それを竹田のもんに売ったんじゃ。
それをこうた(買った)人は鍛治屋〈かじや〉やったもんで、じきに川原へもっていって、火ぃでとけぇて金〈きん〉をとろうと思うた。
そやけどなんぼ火ぃおこえてもとけへんもんじゃで、ごおわけえて(おこって)、こんだぁ金〈かな〉さえづちで(金鎚〈かなづち〉)でたてぇてつぶい(つぶす)たれおもうて、げんのう(大槌)みてぇな金しやずちでガン・ガン、たてぇたんじゃげな。
ほしたら(そうしたら)まあ、なんと妙なことにその仏はんが、
「がっこん寺、がっこん寺」
と、いうんじゃちゅうわえ、鍛治屋はびっくりしっちもてなあ、しりもちついてひっくりけぇったといや。
ほえで(それで)、鍛治屋はさっぱりこわうなっちもうて、こりやぁもう寺へ返さにゃしょうねえおもうて、日ぃくれぇて(日が暮れて)から、宝珠峠〈ほうじゅとうげ〉ごしで、その仏はんを持ってきて、あの寺のねきの弁天池へ“ドボリン”とほおりこんでぇて逃げていんだんじゃげな。
へぇから(それから)、ちいとました時分、ばんげに田んぼから帰りよった村のもんが、あの池のねきで、きれいなおちごはんに出おうてなあ、それが暗夜やちゅうのにはっきり見えるんやげな。ふしぎなこっちゃ言うてうわさしとるうちに、遠坂峠を通りよった旅のもんが、日の暮れた峠のてっぺん(頂上)で、ちょっと休んで汗ふきよったら、西の方の遠〈と〉いとこに、ぴかぴか光るもんが見えるんじゃげな。
何じゃろう思うて光っとるとこめがけて行ってみたら、それが弁天池やったちゅうわけや。へぇで旅人は、おてらぇとんでへぇって、法印〈ほういん〉さんにいうたら、法印さんはじきに村のもんをよんできなって池の光るとこらをさらえさせてみりゃ、なんと、こねえだ盗まれた、やくっさんが上ってきなった。法印さんはよろこんでなあ、新〈あたら〉しゅうにお堂を建てて、でぇじに祭りなったんじゃげな。
なんせ、何べんでも難儀に合いもって無事にもどってきなった仏さんやさけえ、どんな難儀やろうが、病気やろうが助けてくれるにちげえねぇちゅうことになって、近所のもんはだあれもやー、といいとこのもんまで、おおぜけぇ(おおぜい)、めぇる(参る)ようになったんやといや。

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