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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > 狐〈きつね〉、かご島太郎(和田山町)

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更新日:2012年11月5日

狐〈きつね〉、かご島太郎(和田山町)

昔、今の和田山駅の裏側一帯を、かご島・・・といっていたころ、そのあたりにたくさんの狐が住んでいました。
夜になると、そこを通る村の人にいたずらをしたり、持っているごちそうをだましとったりして、悪いことばかりしていました。
その中で一きわ大きい古狐がおりました。村の人は、その古狐のことを「かご島太郎」「かご島太郎」といってたいそうおそれていました。
ところが、近くの玉置〈たまき〉という部落に桜甚兵衛〈さくらじんべえ〉という大変力持ちのお相撲〈すもう〉さんが住んでいました、甚兵衛さんはこの狐の話を聞いて、ひとつ力くらべをしようと考えました。
ある晩、甚兵衛さんは、アズキをいって(焼いて)袋に入れ腰にぶらさげてかご島にやってきました。星明〈ほしあか〉りにじっと草むらの中をすかしてみると、なるほど大きな狐が一匹こちらをうかがっているのが見えました。甚兵衛さんは大声でさけびました。
「どうだおれと力くらべをしょうか。」
と大手を広げてやりますと、狐のかご島太郎が、むんずと組みついてきました。どちらも大変な力もちでしたからいっこうに勝負がつきません。組んでは離れ、組んでは離れしながら小半時(約一時間)以上もとっ組んでいましたが、とうとう勝負がつきませんでした。
そこで甚兵衛さんがかご島太郎にいいました。
「いくらやっても勝負がつかんので、別の試合をしよう。」
といいますと、力くらべで気をよくしているかご島太郎は
「いいとも、何でも相手になってやるぜ。」
と、そっくりかえって答えました。
「よし、それじや石が食べられるか。」
と甚兵衛さんがいうかいわぬ先にかご島太郎は、足もとの小石をつかんで、あの大きな口の中にほおりこんだかと思うと“がりっ”とかみはじめました。しかし、いくらするどい狐の歯でも石にはかないません。とうとう口からはきだしてしまいました。
今度は甚兵衛さんの番です。甚兵衛さんは、ゆっくりとかがみながら石を拾うようなかっこうをしながら、袋の中のアズキのいったものをつかんで、口の中に一ぱいほおりこんだかと思うと、
“バリバリ、ボリボリ”
とおいしそうに食べはじめました。これを見ていたかご島太郎は、
「こんな人間には、歯がたたん。」
といって、裏の山に向かって一目散に逃げていってしまいました。

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