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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > キツネに化〈ば〉かされた話(関宮町三宅)

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更新日:2013年1月14日

キツネに化〈ば〉かされた話(関宮町三宅)

その一

むかしな、××げのじいさんがな、今はもう死んじゃったがな、八鹿に用があって出た時のことじゃ。用をする時間が長がなってしまったんじゃ。じいさんは、日の暮れんうちに早よ家につかんならんと思って急いで帰りかけたんじゃが、八木(三宅の下の隣り村)まで来たら、急に、ポトリと日が暮れてしまった。
「おかしいな、急に日が暮れてしまった。こんな時にゃキツネが出るかもしれん。用心せなあ。」
と、用心しいしい歩いた。
なんぼ歩いても三宅にならん。
「おかしいな、まあ(もう)三宅についてもええんじゃが。」
と思い、ひょっと気がつくと、和土(三宅の上の地名)の井溝〈ゆみぞ〉の下におった。
「ありゃ、いつのまにこんなとこまで歩いとったんじゃえ。」
と、急いでひき返した。ところが、なんぼ歩いても三宅にならん。
「ええかげんにつくはずじゃが。」
ひょいと気がつくと、八木の日の暮れたとこに来てしまっとる。
「こりゃあ、キツネが化かしよるな。こんどこそみとれえよ。」
と歩きはじめたが、気がつくとやっぱり和土の所。
そうして、何べんも何べんも行ったり、来たりしとったが、
「ええい、まあ(もう)ーじっとしとったれ。」
とすわりこんでしまったんじゃ。そのうちねてしまって、目がさめたら、朝になっとって、じいさんは、田んぼの中におったんじゃ。
じいさん、やっぱり、キツネに化かされとったんじゃな。


その二

むかしな、このへんにゃー、ようけキツネがおったんじゃ。○○げのじいさんが向こう山の畑へ行っとったんじゃけどなあ、仕事をしよるうちに日が暮れてしまったんじゃ。早よ帰ろうと山をおりかけると、村の方にポッと火がついた。
「おかしいな、なんの火じゃらあな。」
と思いもって(ながら)山をおりよったが、火はだんだん大きゅうなって、あっちもこっちも燃えだした。
「こりゃたいへんじゃ、火事じゃがな。」
じいさんは、こけるようにして山をおりて、帰った。
けど村の中はどうもなっとれへん。家について、
「どこぞ火事があれへなんだかえ、向こう山から見とったらよう燃えとったんじゃが。」
と聞いたら、みんなが、
「おじいさん、そりゃおおかたキツネに化かされんさったんじゃで。」
って、笑われたんじゃとや。

(池田松之助 談)


このキツネは、たぶん、「琴引〈ことびき〉の松右衛門」と言っていたキツネでしょう。三宅には、この男狐と、「みみんどうの小女郎」という女狐がおりました。そして、この松右衛門は、とてもいたずらが好きで、この話の他にも、たくさん化かした話があったようです。私の子どものころ(この人は六十五才位)は、「きつね狩り」という行事があって、子どもが、鐘や太鼓をもって、「きつね狩り」の歌を歌いながら村中をまわったものです。その歌を今、忘れてしまっているので残念です。
(中島信雄 談)

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