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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > あわびを食わない村(和田山町)

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更新日:2012年12月3日

あわびを食わない村(和田山町)

今から千四百年も昔のこと、継体〈けいたい〉天皇のみ代に、遠く朝鮮半島の新羅〈しらぎ〉という国の軍船が、わが国を攻〈せ〉めてきました。
天皇はただちに、但馬の国造〈くにのみやつこ〉である表米宿弥命〈ひょうまいすくねのみこと〉にこれを討つよう命ぜられました。命〈みこと〉はその時、今の和田山町に住んでおられましたが、ただちにたくさんの兵を率〈ひき〉いて、丹後の白糸浜〈しらいとのはま〉という海上で新羅の軍をむかえ討ちました。
命はそのとき、はるか故郷の方に向かって、自分たちの先祖である、赤淵足尼命〈ひきあかぶちたるにのみこと〉、和田津海命〈わだつみのみこと〉や、天地の神々に祈りをささげました。
「何とぞわれらに神助〈しんじょ〉をさずけたまえ。」
といって一心に念じられますと、急に空がかき曇り、雷鳴がなり響いたかと思うと、大暴風雨がおこり、沖の海は荒れくるいました。さしも頑〈がん〉強な新羅の軍船もひとたまりもありません、ほとんどの船はあの荒れくるう波の中にのまれてしまいました。
もちろん、味方の方も大損害をこうむり浸〈しん〉水する船もたくさんできました。しかし何と不思議なことに海の底の方からおびただしいたくさんなあわびが浮き上がってきて、こわれて浸水しはじめた船の割れ目にぴったりとくっついて、浸水を防いでくれました。
やがて波も静まりましたので、命〈みこと〉が但馬をさして帰ろうとしたとき、どこからともなしに現われた一隻の船が、美しい輝きを放ちながら命の船の水先案内をしてくれました。大変およろこびになった命はその水先案内をしてくれた船を調べさしますと、人影とて一つなく、大きな船底に、昔、竜宮城〈りゅうぐうじょう〉にのみいたという、丸穴の大あわび貝が一匹みつかりました。
命はそのあわびを持ち帰り、大蔵部山のふもとの赤淵という池におはなしになりました。そうしてその近くにお宮をお建てになり、赤淵足尼命、和田津海命と共にその大あわびをお祭りになりました。
その後、命〈みこと〉がなくなられたので、さらにこのお宮に、表米宿弥命をもお祭りし、四柱の神々を祭ることになりました。
なお、今でもこのお宮の氏子たちは、あわびを食べることを禁じています。若〈も〉し間違ってこの貝を食べますと、急に腹痛をおこしたり、命まで失うことがあるといわれています。

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