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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』但馬編 > 似た話二つ(温泉町・浜坂町)

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更新日:2012年11月5日

似た話二つ(温泉町・浜坂町)

一、滝不動

畑が平の東の方の山の中に小さな滝があります。その滝は中が洞〈どう〉くつのようになっていて、そこに観音さまと不動さま、毘沙門〈びしゃもん〉さまの三体の仏像〈ぶつぞう〉が祭ってありました。
あまり奥山にあるので、お詣〈まい〉りするのも大変です。それでこの仏像を祀〈まつ〉っていた肥前〈ひぜん〉畑、菅原〈すがはら〉、小長辿〈こながたは〉の三つの村の人達が集って、仏像をわけてそれぞれの村で祭ろうと話が決りました。
だが、どの仏像をどの村にということになると、どの村の人も自分の村にご本尊の観音さまを祭るのが当然だと言いはって、いつまでたってもゆずろうとはせず、とうとう大げんかになりそうです。
みかねた小長辿の人が
「ありがたい仏さまのことで、喧嘩〈けんか〉するのはよくないことだ。ばちがあたるぞ!
どうだ今日はみんなこれで村にかえり、あしたの朝早くそれぞれの村を出発し、一番先についた所が観音さまを迎えてかえることにしょうじゃあないか。」
といいました。みんなもいくら口論しても駄目だと思ったので、これに賛成し、それぞれ別れて村にかえりました。
ところが、小長辿の人は途中まで帰ると、みんなが滝まで引きかえし、観音さまを持って夜の道を帰ってしまいました。
翌朝まだ暗いうちにたいまつを持って菅原、肥前畑の人たちがきてみると観音さまの姿はもうありません。しかたなく毘沙門さまと不動さまをわけてかえりました。
(田村義雄談)

二、村境い

岸田川の支流田君川に沿うて田君〈たぎみ〉の村とそのずっと奥に後山〈うしろやま〉の村があります。
この二つの村の村境のことで二つの村の氏神さまが長いあいだ争いつづけました。人間の争いでも中々大変だのに神様〈かみさま〉の争いごとですからまた大変なことだったでしょう。
結局あしたの朝それぞれの村を出発し出合ったところを村境いにしようということになり、おたがいに引きあげました。
村に帰った田君の神様はすぐ牛の背に歳徳神〈としとくのかみ〉にお供〈そなえ〉する米俵をこっとい・・・・(牡〈おす〉牛の古い言葉が方言化したもの)の背にのせて暗がりに牛をひきだしました。
あまり牛が歩かないのでいらいらしましたが、それでも思ったより早く随分〈ずいぶん〉奥まで入りました。もうこの辺でよかろうと、牛を木につなぎました。これが「こっとえ」というところです。また、道ばたに腰をかけて夜のあけるのを待っていました。ここが「あきまち」です。
しばらくすると大いそぎで後山の神様がすっとんで出ましたが、そこにいる田君の神様をみてびっくりしました。でもどうすることもできません。随分ひろい場所を田君の神さまにとられてしまいました。

三、扇子〈せんす〉

昔、名まえはわすれましたが、話の上手な子供がいました。ある時、殿様に召しだされていろいろのお話を申し上げました。
殿様はその話が大そう面白かったので
「褒美〈ほうび〉に何かとらす。慾〈ほ〉しいものがあったら申してみよ。」
とおっしゃいました。
するとその子供は「ではこの扇子にかくれただけの田圃〈たんぼ〉が欲しうございます。」
と申し上げました。殿様は笑って
「ずい分慾〈よく〉のないやつだ。すぐやろう。」
と申されました。すると子供は立ってお城の窓から扇を伸ばしました。その向うにかくれた田圃はとっても広い面積でしたが、殿様は約束だから仕方なくその広い広い田圃を子供に与えました。
(田中としえ談)

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