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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』淡路編 > キウリを作らぬ村(三原町市)

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更新日:2012年11月12日

キウリを作らぬ村(三原町市)

町の家庭菜園でも、キウリを栽培するこのごろ、“村づくり悲願”のためとはいえ、お百姓さんがキウリを絶対つくらないという、めずらしい部落があります。
淡路島の三原平野の中心部に当る、三原町市の小井〈おい〉部落は農家ばかり三十七戸のこじんまりした農村です。人家をのぞけば、ほとんど耕作地で、水田約二十五・六ヘクタールで、米、麦、酪農、玉葱を主に収穫し、野菜は家で食べる位しか栽培していません。
けれども、玉葱の栽培など、前後八回もの集団消毒を行ない、反当り千五百貫(一貫は三、七五キログラム)を収穫するほどの篤農家〈とくのうか〉ぞろいであります。

話は百五十年ほど前のことです。(文政年間)、そのころ、小井部落では不審火〈ふしんび〉で火事がたびたび起りました。村の人々はお互いに不信感におそわれ、互いに疑いあったり、うらみあって、いやな毎日でありました。その中に、部落のほとんどが大火災にあって、全滅にひとしいありさまとなりました。
村人みんなが無一物となって、困まりはてましたが、灰となった部落の復興のため、血みどろの生活がはじまりました。また再びこのような惨事をおこさないよう、心のいましめとして何か申し合わせようではないかという話し合いになって、“火除〈ひよけ〉けの神様”西淡町松帆瑞井〈みずい〉にある秋葉神社に月参りをしようではないか。又年に一度は部落総出の総詣りはどうだろうということが決まりました。
秋葉神社の紋章が、キウリの花ですので、今までキウリを作っていたが、花をふむことは紋章をふむことになるのではないだろうか。それじゃごえんりょして、キウリを作らないことにしようということになったそうです。
このようにして、三月一日部落再興と防火の祈願をかけたわけで、それが代々伝えられ、守られて自分たちの住む村、明るい平和な村づくりに、みんなこぞって協力して来たのです。

毎年三月一日が総詣り、毎月二人づつ順番に秋葉神社に月参りすることと、キウリをつくらないことによって、村の団結が保たれてきたようです。

(三原町市 喜田友鹿氏 談)

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