• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』淡路編 > 河童〈かっぱ〉松(三原町志知)

ここから本文です。

更新日:2012年10月15日

河童〈かっぱ〉松(三原町志知)

西淡町の志知松本というところに、伊勢〈いせ〉明神と呼ばれている神社があり、古い大きな松が生いしげっていた。(今は三原町になっている)
世の中がみだれ、戦争〈せんそう〉がたえなかった大昔のある日のこと、戦争につかう馬が小川の岸につながれていた。そこへ一人の法師〈ほうし〉に身を変〈か〉えた河童〈かっぱ〉がやってきた。
「ひひひ…ん。」
馬はびっくりして、とびあがりいなないた。
「たすけてくれ。」
といわんばかりに馬はもがきはじめた。
河童は、馬を水底に引き込もうとしているのである。たまらなくなった馬は後ずさりをして、足を左右に上げはねだした。河童〈かっぱ〉はその中、馬の尻〈しり〉に手を入れはじめた。馬は、
「何をするんだ。」と言わんばかりにうしろをむいてはげしくていこうをした。
河童は、さらに深く手を入れて、馬の腹から胆〈きも〉をつかみだそうとした。馬はたまったものじゃない。
おどろきあわてた馬は、一目散〈もくさん〉に駆〈か〉けだした。いたずらっ子の河童は馬の尻に手を入れたまま、どうすることもできない。馬の尻で手をしめたまま引きずられていった。とちゅうで、こんどは、河童の方が、
「たすけてくれ…、たすけてくれー…。」
大きな声で叫べは叫ぶほど、馬はよけいかけだした。河童はころがるように引きずられて伊勢〈いせ〉の明神さまの境内〈けいだい〉までくると、一人の里人にみつけられ、たちまち捕〈とら〉えられてしまった。大ぜいの里人たちがあつまってきた。いろいろしらべてみると、方々で、いたずらをしてはにげまわったり、めいわくをかけていることがわかった。里人たちは口々に、
「河童を殺してしまえ。」
「つみのつぐないをせよ。」
と、ののしった。
河童はあわてて叫んだ。
「これからは、いっさいこの土地の人たちや、牛馬にいたずらをしたり、害をあたえたりはいたしません。どうかおたすけ下さい。」
と、目になみだをためてあやまった。
里人たちはそれでも許〈ゆる〉そうとしなかった。縄で大きな松にしばろうとした。河童は、何度も手を合わせてあやまった。
里人たちは、
「こんど、こんないたずらをしたら承知〈しょうち〉しないぞ。」
といってしばりかけていた松の木から縄を解〈と〉いて放〈はな〉してやった。
河童はよろこんで、
「ありがとうございます。ごおんはけっして忘れません。」
といって、かけだしていった。
それからのちもときどき、この松の下へきて雨の夜をすごしていたという。
以後この松を「河童松〈かっぱのまつ〉」と呼んでいる。松の木はさらに大きくなり、付近をおおっている。そして、今なお語りつがれて子供たちのいこいの場となっている。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022