• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』東播編 > 駒手〈こまで〉の御井〈みい〉と速鳥〈はやとり〉(明石市大蔵町)

ここから本文です。

更新日:2013年1月28日

駒手〈こまで〉の御井〈みい〉と速鳥〈はやとり〉(明石市大蔵町)

仁徳〈にんとく〉天皇のころ、大蔵谷〈おおくらだに〉の太寺〈たいでら〉に駒手〈こまで〉の御井〈みい〉というたいへんよい清水があり、その上に大きなクスノキがありました。昼〈ひる〉も夜もぐんぐんとのびていきました。
いつの間〈ま〉にか、クスノキはその高いこずえに、雲がかかるほどになりました。枝は、四方にひろがり、どこまでつづいているかわからなくなりました。
朝日がでると、淡路島はクスノキのかげになり、夕日になると、木の東にある日本全体にかげを落とし、早くから夜になってしまいます。そこで日かげになる村の人たちが、相談してクスノキを切りたおすことになりました。

こんな大きな木なので切るのもたいへんです。毎日、何百人のきこりが集まって、やっと切りたおしました。
こんどは、切りたおした木をどうしたらよいかということになりました。
すると、知恵〈ちえ〉のある老人が、「木をくりぬいて、舟をつくったらどうだろう。」と、いいました。
みんながさんせいして、おおぜいの大工〈だいく〉を集めて、舟をつくりにかかりました。
長い間かかって、とうとう一そうの舟をつくりあげました。
いよいよ海に浮べてみますと、今までに見たことも聞いたこともない大きな舟でした。
おおぜいの船頭〈せんどう〉が、乗りこんでかいをそろえてひとかき水をかきますと、舟は七つの大波を乗り切って、まるで鳥のとぶように速く走りました。
人びとは、「なんと、速い舟だろう。ふしぎな舟もあるものだ。」と、おどろきました。
すると、あの知恵のある老人が、「いや、ふしぎでも何でもない。あのぐんぐんとのびていったクスノキだ。その力がのり移ったのだろう。鳥のように速いから、速鳥〈はやとり〉という名をつけよう。」と、いいました。
その後、速鳥は、たくさんの米や麦やくだものを積んで、都の方へたびたび通うことになりました。

また、天皇のお食事に使う水を、この井戸からくんで運んだりしました。
ところが、ある日、速鳥は天皇のお食事の時間におくれてしまいました。速い舟足に自信をもつ船頭が、うっかり明石海峡の潮の流れを読みちがえたために、おくれてしまったのです。
みんなは、「どんなことがあっても、飛ぶ鳥のように速く走ってこそ速鳥というのではないか。おくれるようなものを、どうして速鳥といえるだろう。」と、ののしりました。
船頭たちは、心のゆるみを反省し、速鳥を潮の流れにのせて、前よりも速く飛ばすようになりました。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022