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更新日:2012年9月24日
むかし、どえらい欲〈よく〉のふかい金もちがおったんやそうな。その金もちは小作人〈こさくにん〉あいてに、金や食べもんを貸〈か〉しては、ほうがいな利子〈りし〉をとって、そいで金もうけしとったんやそうな。もし小作人がその借〈か〉ったもんをよおかやさなんだら、その金もちの家へつれていかれてただで何日も働〈はたら〉かされたんやそうな。せやさかいに小作人はいつまでたっても貧乏〈びんぼう〉ばっかりしとったんや。
そんなあるとき、その欲のふかい金もちが病気〈びょうき〉になったんやそうな。せやけど医者にはかからなんだんやそうな。そいでだんだん病気がひどおなって、死にそうになったんや。身近〈みじか〉におった小作人をよんで、
「もう死ぬようになったら、欲はいらん。」としみじみいうたんやそうな。
今までひどい目にあわされてきた小作人も、それ聞いて、あわれに思〈おも〉えて涙がでてきたんやそうな。
そしたら死にぎわに、
「欲はいらねど金ほしや、死んでもいのちのあるように。」というたそうな。
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