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更新日:2012年11月26日
昔、何時のころかわかりませんが、今の赤〈あか〉い花〈はな〉(赤岩鼻〈あかいわはな〉)の下がまだ細い道しかなかったころ、一人の馬車ひきが、いっぱい荷物を積んで車を馬に引かせて通っておりました。
大へん疲れたので一服しようと、腰をおろして休んでおりますと、急に馬が高い声でいななくので、何事かとふりかえってよくよく見ると、一匹のカッパが馬の尻に頭をつっこんで、腸をひきずり出そうとしているところでした。
腕自慢〈うでじまん〉の馬車ひきは、「生意気〈なまいき〉なカッパめ!」とばかりにカッパを引き離し、にらみすえながらこらしめようとしました。カッパは泣いてあやまり、
「赤松から有年の間には、私の仲間のカッパ族を、子子孫孫〈ししそんそん〉まで住まわせません。」と誓うので、証文を書かせ逃がしてやりました。カッパはお礼をいいながら下流の方に逃げて行きました。
そのカッパの証文が、上郡町市町の稲荷さんに保管されているということですが、誰も見た人はいません。
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