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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』淡路編 > 千手〈ちで〉の松(南淡町賀集)

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更新日:2012年11月12日

千手〈ちで〉の松(南淡町賀集)

天承元年(一一二六年)の夏は、毎日毎日かんかん照りの暑い天気がつづきました。そのため、田畑の作物はすっかりしおれて、日本国中がかんばつになやまされました。
そこで、妙松院竜尊上人〈みょうしょういんりゅうそんしょうにん〉が雨乞のお祈りをして、めぐみの雨をいただくよう、鳴門海峡で七日間のお祈りをいたしました。
丁度七日目、満願の夜半に波間にピカ、ピカと光るものがあります。不思議に思って近づき拾い上げてみると珍しい小箱でありました。
おそるおそる開いてみると、竜王と本地救世の観世音ぼさつの尊像であったのでびっくりして、なお一そうお祈りをつづけると、とつぜん大つぶの雨が滝のように降ってきました。
上人は、「有難や、有難や、これでお百姓さんが助かるぞ。」と、たいへんよろこびました。

そこで、小箱の尊像をもちかえり、お祭りしようと考えましたが、自分の肌身〈はだみ〉にふれればおそれおおいと思って、近くの岩に生えていた小松をひきぬいて背中にあて、小箱を背負って帰り、南淡町賀集野田の地をひらいて、小さなお堂を建てて、もち帰った尊像をおまつりし、庭先にその小松を植えて、竜松千手の松と名前をつけました。
その後、応永〈おうえい〉の頃、観山法院というお坊さんが、その年も大かんばつでお百姓さんが困っていたので、昔のいわれにならって、この千手の松に湯の花を捧げお祈りをいたしますと、たちまち大雨が降って霊験あらたかなることがわかり、すべての住人は大いに喜んだということです。

それからは、毎年六月十七日に松の木の下で、湯立神楽〈ゆたてかぐら〉の祭りを行なうようになりました。
大正十五年二月二十四日、天然記念物の指定をうけました。
樹令八百年を越えますが、霊松として住民の尊敬と愛撫〈あいぶ〉をうけて、今でも緑あざやかに偉容堂々としています。
幹の周りは八メートル、高さ十八メートルあり、枝葉のひろがりは、東西三十一メートル、南北三十四メートル、実に見事な姿であります。

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