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ホーム > 学校・授業の教材 > 郷土の民話 > 『郷土の民話』淡路編 > 題目石[夜泣石](一宮町多賀)

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更新日:2012年6月20日

題目石[夜泣石](一宮町多賀)

「こんなりっぱなええ石を、大町の山の中の城の越〈こし〉においておくのはもったいないことだ。ありがたいお経を書いて妙京寺のお寺に、おまつりするとしあわせになれるぞ。」

「さっそく坊さんにお願いして書いてもらい拝んでからお寺さんへおまつりしょう。」そういうことで二メートルもある大石に、南無妙法蓮華経〈なむみょうほうれんげきょう〉、日蓮大士〈にちれんだいし〉、慶長十三年(今から約三百七十年前)と大きく書き、年こしもすんだ二月十三日、お昼から村の人々は総出で妙京寺へ運ぶことになり、つなでしっかりくくり前後四人でかたみにかついでいくことになりました。

「さあもう一息だ。落合橋〈おちあいばし〉までくればなあ。」そう言いながら妙京寺の馬場の松並木をのぞき足を早めて行きました。その時つながぷっつり切れてしまいました。
「今ごろつなが切れるとはみようなこっちゃ。もうちょっとだというのに。」すぐつなを取り替え、かつごうとしましたが、こんどは足は地にすいついてしまって動けません。人がかわりましたが足は、がんとして動きません。…日は早や神宮の森にはいってしまいました。(昔はいざなぎ神宮のことを一宮皇太神宮といっていた)
「せっかくここまで来たがどうもしゃないこっちゃ。とにかくあしたのことにしょう。」

そういうことにして題目石を落合橋にもたせて、みんな帰っていきました。夜中、近くの弥兵衛さんの家では大そうどうです。おじいさんは急に腹いたを起こしころげまわっているのです。すぐお医者さんを呼びに走りました。お医者さんを起していると隣りの良作さんもかけつけてきました。小さい赤ちゃんが引きつけたのです。そこへまた太郎作どんが、
「えらいこちゃ。おとっつあんが熱を出してよわっとるんじゃ。早ようたのみます。」
とかけつけてきました。また次に―、また次へ―と。

おかしなことがあるもんだとみんな集まって考えました。…題目石の方向の人たちが…
「さてはこの題目石のためだったのだ。たてかけらんと天向けにねさしておこう。」
「ヤレヤレこれで落ち着いてねられるわい。」
みんなはホッとして帰っていきました。やがて半時…橋のたもとで赤ちゃんの泣き声がします。またみんなは起きてきました。お題目をとなえると泣きやんでしまいます。みんなは夜が明けるまで一心におがみ続けました。
こんなことがあると多賀の人も大町の人も題目石をおそれてしまいました。一日みんなで相談して井手と大町のちょうど堺のとんや坂の上に天向けにしておまつりすることになりました。

今も赤ちゃんの夜泣きをとめるまじないにとおまいりする人がたえません。やはり天向きにされたままです。おてんとう様は腹いたをおこさないのかしら。

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