ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > 水なし川(神崎町)
ここから本文です。
更新日:2012年8月27日
ある夏の暑い昼さがり、東山の道を旅の坊さんが歩いていました。ちょっと休ませてもらおうと、ある百姓家〈や〉に立ち寄りました。と、その家の横に、きれいな水をたたえた谷川がありました。
お坊さんは、その川のふちへいって、冷たい水で顔や手足をふきたいと思って洗い場におりると、そこにいたおばあさんが、
「これこれ、あんたはだれですか、この川の水は、この近所の者しか使ってはいけないんだ。そんなきたない身なりをした人には、使わすことはできません。」
といいました。お坊さんはいたしかたなく、のどのかわきに苦しみがら山をのぼっていきました。
そのあくる日から、その谷川の水が少しずつ減〈へ〉っていきます。近所の人たちは、なぜだろうと不思議がりました。とうとう一滴の水も流れなくなりました。それから何日か後に大雨が降り、谷川は洪水〈こうずい〉となり田畑が流されました。しかし、雨がやみ一日たつと、その川の水は一滴も流れません。それから後、この谷川は雨が降ると、すぐに大洪水となって田畑を荒らし、雨がやむと、もう二日目には水が流れなくなりました。その原因がわかり、八方手をつくしてお坊さんをさがしまわりましたが、どこにも見つけ出すことはできませんでした。
お問い合わせ