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ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > 網干〈あぼし〉の鉄鉢〈てつばち〉(姫路市網干)

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更新日:2013年2月18日

網干〈あぼし〉の鉄鉢〈てつばち〉(姫路市網干)

むかし、飾磨郡家島〈しかまぐんいえじま〉の堂崎〈どざき〉に、千手観音〈せんじゅかんのん〉とともに、ひとつの鉄鉢〈てつばち〉がありました。
当時、千手観音に仕えていた法道仙人〈ほうどうせんにん〉という人が、その鉄鉢を海上に浮かして、内海〈ないかい〉を行ききする客船に、米のお供えをたのみました。
この鉄鉢は不思議にも、水に沈〈しず〉まず、瀬戸内海のそこここと流れ歩いて、新しい船に着くと、中に米を入れてもらいました。内海を通る船は、すべてよく知っていて、鉄鉢が船べりに着くと、新しい米をいっぱいに入れ、船の安全な航海〈こうかい〉を願ったということです。
鉄鉢は、中がいっぱいになると、海上を流れ帰って、法道仙人の手もとに帰りました。まことに不思議な鉄鉢でありました。

あるとき、いたずらな漁師〈りょうし〉が、流れ着いた鉄鉢に、とっていた鰯〈いわし〉を投げ入れました。すると不思議なことに、今まで静かであった海が急に荒れはじめ、漁師の乗った船は木〈こ〉の葉のようにゆれ動き、波のまにまにさまよったあげく、鉄鉢とともに海底に沈み、ひとつの島になってしまいました。それが今の網干の鰯島〈いわしじま〉といわれています。
そのとき、さらに不思議なことがおこりました。漁師が鉄鉢に鰯を投げ入れたと同じころ、堂崎の千手観音が、急にまばゆいばかりの光を出し、その光のすじは、遠く鉄鉢の沈んだ海上を照らしだしました。そして、その中から千手観音が飛び出されたので、法道仙人が光のあとを追っていったところ、光は海上にいくすじもの光をおとしながら、今の大日寺のところにたどりつきました。そこで法道仙人は、その土地に観音を祭りました。
いっぽう、海に沈んだ鉄鉢〈てつばち〉は、船が沈み島が浮かび上がると、ふたたび海上に浮かび上がり、流れ流れて網干の鶴立山大覚寺〈かくりゅうざんだいかくじ〉に着いたといわれています。今に伝わる鉄鉢が、その不思議な鉄鉢だといわれています。

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