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ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > ぴーひゃらぴーひゃら甘地〈あまじ〉の獅子舞〈ししまい〉(市川町)

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更新日:2013年1月7日

ぴーひゃらぴーひゃら甘地〈あまじ〉の獅子舞〈ししまい〉(市川町)

どんどん ぴーひゃら ぴーひゃらら
どんどん ぴーひゃら どんどんどん

この文字の列〈なら〉びをよんでいると、なにを思いだすでしょうか。いうまでもなく、ふるさとのお祭です。このごろでは、ぴーひゃらぴーひゃらの笛の音は、あまりきかれなくなりました。
NHKの“ふるさとの歌まつり”をみた人は、きっと思うことでしょう。日本の北から南へ、東から西へ、いろんなカラー色豊かな、さまざまの歌と踊りと民芸と人情と風俗、習慣、産業や生活の、何とさまざまのもののあることよ・・・ということを。
それにしても、どのふるさとの歌まつりをみても、同じ色あい・・をもったものが、共通して出てくるのに気がつきませんか。
ええ、それはあります。それが獅子舞〈ししまい〉なのです。
獅子舞というと、神崎郡市川〈いちかわ〉町には、全国的に名のある甘地〈あまじ〉のそれがあります。かっては、NHKの大阪中央放送局から何回となく全国に中継放送され、すぐれた郷土芸術〈げいじゅつ〉となっています。
農村では、お米を中心とした生活がくりひろげられます。夏の始めに種〈たね〉をまいて、秋のとり入れまで半年以上の間、農民が天候を気にしながら、土を耕し、草をとり肥料〈ひりょう〉をあたえ、文字どおり汗〈あせ〉とあぶら・・・のあとで、黄金〈こがね〉色の稲穂をみることができます。それだけに、収穫のよろこびは何にもたとえられません。
農民たちは、このよろこびをわがよろこびとするとともに、神に感謝の気持ちをあらわしました。
甘地の獅子舞も、そのいわれ・・・をたどっていくと、豊作〈ほうさく〉のよろこびと、神への感謝の意味をもって生れたようです。
そしてまた、このおかぐら・・・・によって、一家安全や郷土びとの健康を祈りました。またこの機会に、身のけがれ・・・や危難〈きなん〉からのがれるということも、ひとつの民衆のねがいとしておりました。

わが国の各地に現存〈げんぞん〉している獅子舞〈ししまい〉の起源〈きげん〉や伝来〈でんらい〉については、学者によっていろいろ違っています。
遠くは、アッシリヤに発して、支那(中国)をへて輸入されたものだといわれます。また仏教とともにインドから伝わったものといったり、神事の獅子は、加茂祭から起り、仏教の獅子は、唐楽〈とうがく〉(中国の獅子)を移したものだという人もあります。それとはちがって、
「わが国には、古くから鹿舞〈ししまい〉があり、広く行なわれているところへ、外来の獅子舞が、音楽がよくにているということでつけ足〈た〉されたものだ。」などという説があります。
甘地の獅子舞は、約百五十年前に、船津〈ふなつ〉村(姫路市・船津町)下垣内〈しもがいち〉というところから、教えにこられたといわれていますが、それ以前だともいわれています。
獅子舞には、神の前で舞う神社系と仏の前で舞う寺院系のものとがあります。甘地の獅子は、神社系だといわれています。甘地村へ伝えた下垣内では、昔から笛方〈ふえかた〉、太鼓方〈たいこかた〉、獅子方〈ししかた〉というように、父子〈ふし〉代代伝えられ、一定の格式〈かくしき〉をもって、伝統〈でんとう〉を尊重されてきたのですが、世の移りにつれて、いまはまったくその後が絶〈た〉え、分家筋〈ぶんけすじ〉の甘地に残ってきたのです。

「神事次第写〈しんじしだいうつし〉」という本によると、獅子舞には、本獅子と毛獅子という二つのものが現われますが、甘地のは本獅子すなわち、雌〈め〉獅子です。
毛獅子と本獅子とは、その獅子頭〈がしら〉の作り方、その他の構造に多少のちがいがあって、その舞い方もそれぞれの本性〈ほんしょう〉をあらわしています。毛獅子は、頭から身へかけてフサフサとした長い毛があり、頭も大きく男性的でいささか、すご・・味があり、舞い方は闊達〈かったつ〉で大廻りです。雌〈め〉獅子の方は、頭から肩へかけて、毛の代りに白紙を細長くたたんで、端だけを一分〈ぶ〉幅くらいにきったものをぬいつけています。頭のつくりも、いくぶんこまやかで、小さく女性的です。舞わし方も、はやしも、毛獅子にくらべると小まわりで優美〈ゆうび〉です。

いずれにしても、こうした伝統のある獅子舞が、だんだん忘れられ、若い者が受け継ぐことを嫌うような現象が出てきていますが、まことになげかわしいことです。

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