• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > 笠形〈かさがた〉の挽石〈ひきいし〉(てっぺい石)(市川町)

ここから本文です。

更新日:2013年1月7日

笠形〈かさがた〉の挽石〈ひきいし〉(てっぺい石)(市川町)

根宇野〈みよの〉という部落の東に、播磨富士〈はりまふじ〉とよばれている高さ九百三十六メートルの山があります。
その頂上のあたりの姿が、笠〈かさ〉のようにみえるので笠形〈かさがた〉山と名づけられております。
その頂上から二、三十メートル北へおりた所に高さ七メートル、まわり七メートルほどの大きな岩が立っています。昔はもっともっと大きかったそうですが、長い年月の間に風化され今のような大きさになりました。この大きな岩を村人たちは笠形の挽石〈ひきいし〉とよんでいます。

大昔、この山に天〈あま〉の邪鬼〈じゃく〉という者が住んでいました。一度でいいからこの山の主〈ぬし〉になってみたいものだと思い、いろいろと考えたすえ、この山の神に、
「おまえとわしとは、どちらが力が強いかためしてみようではないか。もし負けたらわしはこの山から出ていこう。勝ったならわしがこの山の主〈ぬし〉になろう、それでいいだろう。」
天の邪鬼はまだ山の神の返事もきかぬうちに、ひとりぎめしてしまいました。
「わしは一晩のうちに多可〈たか〉の郡〈こおり〉の妙見山〈みょうけんざん〉へ石の橋を架〈か〉けてみせる。」
といって、さっそく工事にかかりました。あっちの山、こっちの谷から石を挽〈ひ〉いてきて集めました。そして、最初の橋のつかを立てて橋板を集めているうちに、里の方から「コケコッコウ」と一番鶏〈どり〉の鳴き声が頂上まで聞こえてきました。そのうちに東の空が、ぼうーと赤みをみせはじめました。天の邪鬼は、山の神にひとこともいわず、どこかへ行ってしまいました。
このときに立てた大きな橋のつかが、この大岩で今もそのまま残っています。
またその岩のある附近から谷にかけて、橋の板にするために集めた石の板がたくさんでています。大きさは一メートル四角から三十センチメートル四角で、厚さは三センチメートルから十センチメートルほどあります。
この石は庭や玄関〈げんかん〉の敷石〈しきいし〉に使われたり、現在では壁〈かべ〉などにも使われています。
ところがこの石を使うとその家には「あまんじゃこ」ができるといわれています。しかし、このごろではあまりにも多く使うので「あまんじゃこ」ができることはなくなってしまいました。この石の名は「てっぺい石」といいます。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022