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ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > おにぼしばんぼし(姫路市白浜町)

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更新日:2012年11月26日

おにぼしばんぼし(姫路市白浜町)

きょうも日が暮れると、漁師〈りょうし〉さんたちは、つぎつぎと舟を海の方へ走らせていきます。夜の間、ねむらずに魚をとりつづけるのです。空には美しいお星さまが輝やいています。むかしは、このごろとちがって電燈が明るくありませんし、ネオンサインなどはもちろんありません。工場のけむりも今ほど多くありませんから、それは、それは美しいお星さまが輝やいていました。西洋の人が、星座を考えたように、日本人も日本人にわかるような星座をつくりました。
北の空を見ると、北極星〈ほくきょくせい〉とそのまわりを一日に一回、ほくと七星がまわっています。この星は大へんわかりやすく、誰〈だ〉れにでも目につきますから、いろいろの名前がつけられています。その中のひとつに「おにぼし」があります。

魚がお腹いっぱいになったのか、釣〈つ〉れるのがすくなくなってひと休みしてた大吉じいさんは、となりの舟で魚を釣っていた三吉じいさんに声をかけます。
「おおーい、釣れるかい。」
「いや、ちょっともえさを食わんなあ、ところでおにぼし(ほくと七星)さんもだいぶ動いたなあ。」
「そうやなあ、夜があけるまでには、おにぼしもぐるっとまわるやろなあ、それにしてもねの星(北極星)は動かん星じゃなあ。」
「うちのおじいさんが、よう話をしてくれよったで、おにぼしさんは、一夜のうちに半分ぐらい動くんや。しかし、ねのほしさんはちっとも動かん星でなあ、おとなしい星さんやそおな。そこで、おとなしいねのほしさんを、おにぼしさんがねらって、食べようとして、ぐるぐるまわってチャンス待っとるんや。ところが三吉じいさん、よう見てみい、おにぼしさんとねのほしさんの間に星さんが二つ見えるやろう。」
「ああ、ねのほしのななめ上になあ。あの星さんも、ねのほしさんのぐるりをまわっとるで。」
「そうや、あの星を番ぼしさんいうんや、つまりおにぼしさんがねのほしさんをたべようとしているのを間に入って、番ぼしさんがねのほしさんを守って、ぐるぐるまわっとるんや。」
北極星を中心として動く星たちを、西洋では小ぐま座、大ぐま座とよんでいますが、我が国では、ねのほし、ばんぼし、おにぼしと星の動きを細かく調べて、それによくあった名前をつけています。

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