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ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > きぬ屋の娘(播磨一帯)

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更新日:2012年10月29日

きぬ屋の娘(播磨一帯)

むかし、むかし、正直〈しょうじき〉者のおじいさんとおばあさんがありました。二人には子どもがありません。さびしい二人は、なんとか子どもが欲しいと話しておりました。
たなばたの夜に、おばあさんは天の川の近くに住んでいるきぬ屋の織姫〈おりひめ〉さんに、
「どうか私たちに子どもをおめぐみください。私たちは子どもがほしくてなりません。よろしくお願いします。」
と、一生けんめいおいのりしました。
あくるあさ、早く目をさましたおばあさんは、びっくりして自分の耳を疑いました。
「夢をみているのかなあ。庭の方で赤ん坊の声がきこえるよ。」
目をこすってみたり、顔をつねってみたりしましたが、たしかのようです。しょうじを開いて泣き声のする方をみますと、桑〈くわ〉の木の根本に、かわいい女の赤ん坊が泣いているではありませんか。おばあさんは、大よろこびで赤ん坊をだきかかえ、おじいさんの所へとんでいきました。
「これはきっと、きぬ屋の織姫さんがくださったにちがいない。二人でたいせつに育てましょう。」と話しあいました。この子はだんだんと大きくなり、かわいくなっていきます。おじいさんとおばあさんは、かわいくてしかたありません。きれいな着物を作ってやったりして、たのしく過ごしていました。
ところが、八才に成長したある日のこと、高熱の病気にかかり、一日寝ただけでなくなってしまいました。すっかりしょげてしまった二人は、
「おばあさんどうしよう。いっそのこと私たちも死んでしまおうか。」
「おじいさん、そんなこといわずに、もういちど織姫さんにお願いしてみましょう。」
と、また桑の木の下にゆき、一生けんめい織姫さんにお願いしました。ふとみると、目の前の桑の木に一匹のかいこ・・・がおります。まるでおじいさん、おばあさんに話しかけているようです。
「この虫こそ、娘の身代りかも知れません。ひとつ飼って育てましょう。」
と、たいせつにして、箱の中で桑の葉をあたえました。ぐんぐんと大きくなったかいこは、秋にりっぱなまゆ・・を作りました。しかし、ふしぎなことに、このまゆはいつの間にかなくなってしまいました。
おばあさんは、
「あぁ、きっと娘がかいこにばけて、天の川のほとりのきぬ屋の織姫さんのもとに帰って行ったのでしょう。」といいながら、
「あぁ、空に帰って行った娘は、明星〈みょうじょう〉さんになって光っているんですねえ。」
「これからさびしくなったら、あの明星さんと話をすればいい。」
二人のおとしよりたちは、まいばん、金星をみながら過ごしたということです。

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