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ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > 明神〈みょうじん〉山の白翁〈はくおう〉(夢前町)

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更新日:2012年6月1日

明神〈みょうじん〉山の白翁〈はくおう〉(夢前町)

夢前町神種〈このくさ〉に、不思議な話が伝わっています。むかし雄略〈ゆうりゃく〉天皇のころ神種〈このくさ〉村に、弥久彦〈やくひこ〉・富良雄〈ふらお〉・直丸〈じきまる〉・智茂理〈ちもり〉・日綱田〈ひこうだ〉という人がいました。神種村の北に、明神山という高い山があります。この山の頂上に、夜な夜な、明るく光るものが見えます。不思議に思った五人は、このことを村人に語りました。村人も不思議に思って、夜になると山の上を見るのですが、村人にはどうしても、五人のいう光は見えません。

五人はいよいよ不思議に思いました。また薄気味〈うすぎみ〉悪くも思いました。五人は相談して、山へ登ってみることにしました。明神山は六百メートルあまりの険しい〈けわしい〉山ですが、道なき所を草木を分け、岩壁をよじ登りながら、ようやく山頂に達しました。見ると、三メートルあまりのご幣〈ごへい〉が山頂に突き立っています。しばらく見ていますと、ご幣の後ろに白髪〈しらが〉のおじいさんが、ぼーっと現れて、それがだんだんとはっきり拝めるようになりました。五人は驚いて思わず大地にひれ伏してしまいました。おじいさんは低い声で、しずかにいいました。

「私は佐太〈さだ〉の大神〈おおみかみ〉である、明神山は播州〈ばんしゅう〉一の名山で尊い浄い〈きよい〉山である。このご幣〈ごへい〉は、畏〈かしこ〉くも高皇産霊神〈たかみむすびのかみ〉・神皇産霊神〈かみむすびのかみ〉・素盞雄神〈すさのおのかみ〉の御霊代〈みたましろ〉である。この三柱の神をこの山に祭れ、神のご守護はあらたかで、神種〈このくさ〉は栄え、村人は幸いになる。ゆめゆめうたがうことなかれ。」と、いったかと思うと、すうーっと消えてしまいました。

五人は驚きおそれて、あわてふためいて山を駆けおり〈かけおり〉、村人にことの次第を話しました。村人も五人とおなじに驚きおそれて、神のお告げのとおり、明神山の頂き〈いただき〉に小さな祠〈ほこら〉を建てて、ていねいに祭りました。この社〈やしろ〉の名を神元〈かみのもと〉神社と名づけ、今も神種村の氏神として、お祭りしています。

その時の弥久彦、富良雄・直丸・智茂理、日綱田の子孫はそれぞれ、御名見〈みなみ〉・宇治〈うじ〉・珂地〈かじ〉・難波〈なんば〉・菰生〈こうも〉となのって、代代社司となって、神社に奉仕したということです。このころの神種村は、今の前之庄と神種に分かれていますが、この地方にも今も南・加地〈かじ〉・宇治〈うじ〉・難波〈なんば〉という家があって、古〈いにしえ〉の御名見〈みなみ〉・珂地〈かじ〉・宇治〈うじ〉・難波〈なんば〉の後裔〈こうえい〉だといわれています。また菰生〈こもお〉という地名も残っています。

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