• お問い合わせ
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • サイトマップ
  • 携帯サイト

メニュー

ホーム > 学校・授業の教材 > 『郷土の民話』中播編 > あまのじゃくの石(神崎町)

ここから本文です。

更新日:2012年6月1日

あまのじゃくの石(神崎町)

むかしむかしの話じゃ。

いつのころからやったか、この大山の村に、あまのじゃくがすみつくようになったんじゃ。

それはそれは、たいへんなあまのじゃくで、「あつい」といえば「さむい」。「さむい」といえば「あつい」と、ことごとに、ひとの反対ばかりいいよった。

ひとが「美しい」といえば、「いや、きたない」。「きたない」といえば、「美しい」。「山へいけ」といえば、川へ行く、「川へいけ」といえば、山へ行くというように、まったく手のつけられんようなあまのじゃくやった。

あまのじゃくと話をするとうるさいので、みんなはなるべく、あまのじゃくと会わないようにしておった。

このあまのじゃくは、からは小さかったけど、力が強うてなあ。村まつりやおいなりさんである力くらべやすもうでは、自分より大きい男としても、負けなんだ。負けん気が強かったからじゃろう。

ある日、村で、力くらべの競争〈きょうそう〉がはじまったんじゃ。石の持ちくらべで、一番重い石をもちあげた者が優勝することになっていた。村の衆〈しゅう〉が大勢、大きい石や小さい石がいろいろある川原へ集まった。

だんだん番がすすんで、あまのじゃくの番になった。

みんなは、小さい石で力だめしをして、だんだん重い石にかかるんじゃが、そこがあまのじゃくがあまのじゃくなところなんじゃろう。あまのじゃくは、はじめから庭先のくつぬぎくらいもある大きな石をじっと見ている。持ちあげられるかどうか、考えていたんやろうが、それを見た村の衆は、口々に、「あほらしい、あんな重い石が持ちあげられるものか。」とか、「なんぼあまのじゃくでも、とても無理だ。」とか、「やめといたほうがいいね、あまのじゃく。下敷き〈したじき〉になって、つぶれてしまいたくなかったらね。」などと、口々にいったもんじゃ。
あまのじゃくは、「何の、これくらい、朝めしまえだ。」といって、かかえきれないほどもある大きな石の下に両手をかけると、「やっ。」

と、一気に肩の上まで持ちあげ、さしきろうとしたのじゃ。けど、何しろ百貫〈かん〉もある大きな石じゃで、なんぼあまのじゃくでもさしきれるものではない、腰がくだけ、あまのじゃくは大きな石の下じきになってしもうた。

村の衆はよってきて、みんなで大きな石をのけ、あまのじゃくを助けだそうとしたが、みんながよってたかっても、石はびくとも動かん。あまのじゃくは、とうとう息がきれてしもうた。

いまでも、山の中にくつぬぎ石くらいの大きな石があるやろう。あれが、あまのじゃくの石じゃ。あまのじゃくが持ちあげようとして、下じきになってしもうた石じゃ。むかしのまま、そこにおいてある。この石をのけると、この世の中にあまのじゃくがふえるといいつたえられているんじゃ。

お問い合わせ

情報管理部広報係

電話番号:078-331-9962

ファクス番号:078-331-8022